広東省で最賃引き上げ

中国・広東省で、労働者の最低賃金が引き上げられるそうです。

 【広州=阿部将樹】外資系製造業が集積し「世界の工場」と呼ばれる中国広東省は一カ月の最低賃金を今後、三年連続で引き上げる方針を固めた。同省の経済発展の状況に比べ個人の所得水準が低いと判断。これまで最低二年に一度見直すとしてきた方針を切り替え、連続改定に踏み切る。現地に進出する日系企業の経営に大きな影響を与えるのは必至だ。
 労働・社会保障庁の劉友君庁長が明らかにした。同省政府は二〇一二年までに都市住民の所得を〇七年比二倍に増やす計画を打ち出しており、「企業所得に占める給与総額の割合が東南アジア諸国と比べ低いため、個人所得の増加スピードを速めたい」(劉庁長)。物価上昇率国内総生産(GDP)の成長率なども考慮し、合理的な水準まで引き上げるとした。
 現在、省都広州市最低賃金は八百六十元(一万三千円弱)。今月一日付で約一〇%引き上げたばかりで、一〇年代初頭に千五百元程度まで上昇する可能性がある。
 中国の省政府関係者が将来の賃金引き上げに関して踏み込んだ発言をするのは異例。広東省には自動車産業を中心に多数の日系企業が進出しており、影響が懸念される。
(平成20年4月29日付日本経済新聞朝刊から)

こちらはきょうの日経産業新聞です。

 【広州=阿部将樹】中国・広東省政府労働・社会保障庁の劉友君庁長は一カ月の最低賃金を今後、三年連続で引き上げる方針を明らかにした。中国の省政府関係者が将来の賃金引き上げに関して踏み込んだ発言をするのは異例。広東省には自動車産業を中心に多数の日系企業が進出しており、現地進出日系企業の経営に大きな影響を与えるのは必至だ。
 広州市の現在の最低賃金は八百六十元(一万三千円弱)。四月一日付で約一〇%引き上げたばかりで、二〇一〇年代初頭には千五百元程度まで上昇する可能性がある。
 同省政府は一二年までに都市住民の所得を〇七年比二倍に増やす計画を打ち出している。劉庁長は「企業所得に占める給与総額の割合が東南アジア諸国と比べ低いため、個人所得の増加スピードを速めたい」と説明。物価上昇率国内総生産(GDP)の成長率なども考慮して合理的な水準まで引き上げるとした。
 広東省政府は経済発展の状況に比べて個人の所得水準が低いと判断。これまで最低二年に一度見直すとしてきた方針を切り替え、連続改定に踏み切る。
(平成20年5月1日付日経産業新聞から)

ふーむ、同じ記者で、微妙に文章は異なるものの内容もほぼ同じという感じですが、掲載には2日の時差があるのはなぜなのでしょう?まあ、それはともかく、記事から単純計算すれば2010年代初頭には最低賃金が月22,000円強になるということになりましょうか。これは最低賃金ですから、現実の賃金相場はこれよりはそれなりに高いでしょう。実際、すでに中国以上の低賃金を求めてベトナムなどに進出する例もあるわけで、今後はかつて中国の圧倒的な強みとされてきた「低人件費」のもたらす競争力はどんどん低下することになりそうですし、それはたしかに中国に巨額の投資をした日系企業にも大きな影響となることでしょう。まあ、工場は簡単にはなくならないでしょうが、新規投資が減ることになると、はたして広東省の都市住民が本当により豊かになれるのかどうか、仮になれたとしても、そのときには中国国内の矛盾はますます大きくなりかねないような懸念もあり…まあ、余計なお世話でしょうが。