地方の話題

週末の日経新聞から、地方面の話題を紹介したいと思います。

 パート労働者と正社員の差別待遇を禁止する改正パートタイム労働法が四月一日に施行される。中部地域の企業にも施行に合わせ人事制度を見直す動きが広がってきた。流通・金融各社はパートの正社員化を進めて人材を囲い込む。中部は人手不足が深刻で、パートの待遇改善が人材確保だけでなく競争力にも影響するとみて企業は対応を急ぐ。
 カレーチェーンの壱番屋は六月から、「準社員」と呼ぶ、正社員と同等の時間で勤務するパートを対象に、転勤を伴わない地域限定社員制度を導入する計画。現在八十人いる「準社員」の全員が地域限定社員に転換する見通しだ。
 「転勤があることを理由に、正社員になるのをためらっていた主婦らを取り込みたい」(同社)。地域限定社員は正社員と同じ待遇になり、会社としてはボーナス支給の負担が増える。だが同社は「社員の士気が高まり、結果として売上高が増えればいい」と話す。
 小売業の間では「食品メーカーなどの値上げが相次ぐなか、(改正法施行に伴う)人件費の増加は痛い」との声も少なくない。ただ改正法への対策と人材囲い込みという二つの観点で、多少のコスト増を覚悟しても待遇改善に動かざるを得ないのが現状だ。
(平成20年3月8日付日本経済新聞朝刊中部地方経済面から、以下同じ)

人手不足の中部ならではの現象かもしれませんが、正社員化も労働条件向上のひとつだと考えれば、供給不足はなによりの促進効果を持つということでしょう。記事ではパート労働法改正の効果にも触れていますが、法の内容がどうこうというより、パート法が改正されたということ自体が追い風となる効果が出ているのかもしれません。
さらに注目されるのがこの記事です。

 企業がパートの待遇改善や人材確保難に直面するなか、人材業界は派遣社員の活用も広がるとみて営業を強化している。
 流通業への派遣を主力とするアデコの中部支社は「特定派遣社員」を流通業向けに売り込んでいく。特定派遣社員アデコの正社員で、登録制の派遣社員に比べて派遣先企業からの需要に柔軟に対応しやすい。ピープルスタッフには小売店などから「派遣に切り替えるにはどのようにすればいいのか教えてほしい」といった問い合わせが増えている。
 中部は量販店や高級ブランド店の出店が相次ぎ、販売員やレジ業務担当者向けのパートや派遣社員への需要が急増している。一般的にパートの方が派遣よりも時給は安いが、採用や教育にかかるコストはパートの方が割高という。

これまた、供給不足こそがなによりの良薬?というところでしょうか。登録型派遣は不安定かつキャリア形成が困難なことが多いのですが、特定派遣となると派遣会社も派遣社員稼働率や品質に気を使わざるを得ないですから、人材育成やキャリア形成も進みやすくなるはずです。いわゆる「日雇い派遣」も含め、登録型派遣にも企業・働く人双方にそれなりのニーズはあるでしょうから、それをなくしてしまうのはまずいと思いますが、いっぽうでなるべく常用派遣にシフトするよう誘導していく政策が必要だろうと思います。