キャリア官僚志望者4割減

きのうの日経から。

 エリートの代名詞だった国家公務員1種(いわゆるキャリア官僚)の志望者が減り続けている。二〇〇六年度の1種試験の申込者数は二万六千人で、ピークだった一九九六年度(四万五千人)に比べ四割も減った。〇七年度の申込者数は二万二千四百人とマイナス傾向が続く。
 〇六年度の採用者(〇七年四月入省)は五百八十四人と、十年前より一三%減った。競争倍率は約四十五倍で難関には違いないが、ひと昔前に比べるとかなり和らいだ。
 社会経済生産性本部雇用システム研究センターの加藤孝部長は「頑張っても、そうでなくても評価が同じ人事制度のため、待遇の良い外資などに人材が流れやすい」とみる。弁護士や会計士など資格試験を優先する学生も増えた。
 戦後の高度成長期を中心に、日本ではキャリア官僚がエリート層の頂点とみなされたが、そうした価値観は大きく変化した。
 人事院が国家公務員を希望しない大学三年生にその理由を聞いたところ、「保守的で、創造的な仕事ができそうにない」が四一%で最も多かった。「試験の準備が大変」(四〇%)、「出身大学による差別がありそう」(三三%)も上位。画一的な職場で、将来展望が描きにくいといったイメージが表れている。
 入省早々のキャリア官僚へのアンケートでは「公務員にやりがいを感じる」といった前向きの回答が多い一方、「国民から尊敬される職業」と答えたのはわずか〇・五%だった。使命感に燃える若手キャリアも、官僚批判の強まりを痛いほど意識している。
(平成19年12月6日付日本経済新聞朝刊から)

「国家公務員を希望しない大学三年生にその理由を聞い」てもあまり意味がないのではないでしょうか。志望しても採用されないだろうからというごく現実的な事情から国家公務員に関心を持っていない学生さんが多いのが実態ではないかと思いますので…。
現実にキャリア官僚に接していると、国のため、国民のために使命感高く、仕事熱心、勉強熱心にハードワークをこなしていることはよくわかるのですが、世間ではマスコミなどがそうした実態を無視して、一部の不祥事をとらえて官僚すべてがそうであるかのようにバッシングしたり、天下りなどの弊害だけを喧伝したり、既得権を守ることしか考えていない「抵抗勢力」というイメージを拡散させたりしているわけですから、そりゃ志望者が減っても不思議ではないでしょう。もちろん、そうした弊害もあるわけですが、しっかりやっているところはそれはそれで高く評価すべきでしょう。問題は官僚個人にあることより組織や制度のあり方にあることの方がおそらくははるかに多いのでしょうから。