与党大敗

きのう投票が行われた参院選ですが、与党の大敗に終わりました。1人区の結果で大差がついたということは、一昨年の衆院選の自民大勝と同じメカニズムが逆に働いたということでしょう。
さて、民主党は躍進して第一党になったわけですが、ということは選挙前の公約実現に対する責任もより重くなったということでもあるでしょう。ということで、今一度民主党の労働政策の公約をみてみますと…

民主党は…「はたらき方」によって賃金その他の労働条件が著しく不利にならない合理的な原則づくりに取り組みます。
民主党は、時間外勤務手当の割増率を現行の25%から50%に引き上げます。
民主党は…男女ともに仕事と生活を調和させ、健康で充実して働き続けることのできる社会をめざします。「仕事と家庭の両立支援法」(2004年159通常国会に提出)、「男女雇用平等法」(2006年164通常国会に提出)の制定に向けて取り組みます。
民主党は…3年程度かけて段階的に地域最低賃金を引き上げ、全国平均を1000円にすることを目指します。

なるほど、なるほど。「取り組みます」だから、結果はともあれ取り組みさえすれば公約は果たしたことになるわけですね。まあ、実際『「はたらき方」によって賃金その他の労働条件が著しく不利にならない合理的な原則づくり』というのは口で言うほど容易ではないですし、「仕事と家庭の両立支援法」「男女雇用平等法」も現実に制定するとなると抜本的な見直しが必要でしょう。「最賃1,000円」についてはあえて言いますまい。
ということで、主だった労働政策ではっきり「やります」と書いているのは「時間外勤務手当の割増率を現行の25%から50%に引き上げ」るということだけのようです。なるほど、これなら現在継続審議になっている労働基準法改正法案を参院で修正することで実現可能かもしれません。
もっとも、この公約は「労働時間と労働者の健康は密接に結びついており、長時間労働によるメンタルヘルスの悪化、過労死・過労自殺などを防ぐため、健康・安全配慮義務、健康確保のための労働時間管理を徹底することが重要です。民主党は、時間外勤務手当の割増率を現行の25%から50%に引き上げます。」となっていて、その前段の「健康確保のための労働時間管理を徹底する」ことまで実現できるかどうかはかなり疑問ではあります。まあ、文章を読むと労働時間管理を徹底することを実現する、と公約しているわけではなく、公約はあくまで「割増率を引き上げます」の部分だということでしょうから、このあたりの理屈はどうでもいいのでしょう。
となると、割賃の引き上げは残業している多くの労働者にとってはそのまま「賃上げ」(しかも総原資が増えるという意味では「ベア」)になりますから、多くの国民を喜ばせることができるという点においてはなかなか立派な公約実現ということになるでしょう。実際、これは国庫を傷めず、企業の負担でバラマキができるわけですから、政府にとってはこたえられない方法でしょう。もっとも、残業しているのは多くの場合「正社員」でしょうから、非正規との格差是正、というわけにはまいらない(というか、むしろ格差は拡大する)のはつらいところかもしれませんが…。