アートNPO、4分の1が「有給職員なし」

 文化芸術活動にかかわるアートNPO(非営利組織)の初めてといっていい実態調査がまとまった。文化庁の支援を受け、京都のNPO法人「アートNPOリンク」が昨年九月末時点の情勢をアンケート調査した結果、苦しい運営の様子が明らかになった。
 調査結果によるとアートNPOは全国で千七百四十二団体あり、全NPO法人の八%。都道府県別にみると東京都(三百五十四)、大阪府(百三十一)の順に多く、最少は秋田県(六)だった。公演、展覧会など鑑賞機会の提供に力を入れる団体が六割と最も多い。
 注目されるのは経済的な困難さだ。平均年間収入は千四十七万円で、全NPO法人平均の約半分。一割は収入がゼロだった。有給職員のいない団体が四分の一を占めるのに対し、五人以上いる団体は六%にすぎなかった。
 大半の団体は無給の非常勤職員が主力であり、有給職員であっても年収平均は百四十二万円、三割は五十万円未満。自治体の文化予算が削減される中、アートNPOが低賃金で文化振興を下支えしている面があるようだ。
 課題については、助成制度が整備されていないと答えた団体が四割近くに達する。「NPOだから経費が安くて当然とみられる」といった悩みが寄せられている。
(平成19年6月8日付日本経済新聞朝刊から)

「労働」時間の実態がどうかはわかりませんが、平均142万円で3割が50万円未満となると、最低賃金に達しているかどうか心配になってしまうわけで、これはもう、有給職員というよりは有償ボランティアという感じですね。このように、その意義が必ずしも広汎には認められにくい活動への助成のあり方というのは難しい問題なのでしょう。