市場化テスト

今朝の日経新聞から。職安の市場化テストの話題です。

 これまで厚労省市場化テストの対象を、求人開拓や高年齢者の就職支援など周辺事業にとどめてきた。しかし「職業紹介も民間企業で可能」とする諮問会議の民間議員の強い要求を受けて譲歩した。実施時期は明示しなかったが、三年程度テストして継続するかどうか決める。
 諮問会議で厚労省が提示した案では、全国五百七十六カ所のハローワークのうち、都内二カ所で無料職業紹介と就職相談などの事業を市場化テストする。官側の職員が従来通りの業務を続け、民間側は建物の一角に窓口を新設する。求職者は官民の窓口を自由に選ぶ「官民併存型」となる。安倍首相は「非常に分かりやすい仕組み」と評価した。
 ただ厚労省案には民間企業の手足を縛る内容も多い。ハローワークの職員は全国の求人情報をオンラインで検索できるが、民間にはCD―ROMによる情報提供にとどめる。厚労省は「民間企業が求人情報を営利目的などに不正利用する恐れがある」と説明するが、官民の窓口間で情報の量や「鮮度」の差が出る可能性が高い。
 また民間側は雇用保険の関連業務を手掛けることができない。失業手当を受けるために必要な失業状態の認定をしてもらいたい求職者にとっては、職業紹介と一括して扱う官側の窓口の方が便利だ。民間の職業紹介会社が持つ求人情報のあっせんや、独自の就職支援プログラムの実施は認められない見通しで、民間側は実力を発揮しにくい。民間側には窓口に一定数の正社員を配置する条件も付いた。
 市場化テストは通常、業務を一括して請け負いコストを含めて総合的に官民を比較する。今回の厚労省案では、就職決定率など限られた指標で評価される可能性がある。
(平成19年5月10日付日本経済新聞朝刊から)

ふーむ、官民を並べてみて利用者に選ばせようというわけですね。で、あらかじめ官が勝るような仕掛けを施しておけば、「やってみたがやはり官がよかった」と言えるという寸法でしょうか。もっと、官業向けの仕事、民間向けの仕事を層別して議論したほうがいいと思うのですが。かつての職安の「求人開拓」というのは、民間企業を回って「なんでもいいから求人を出せ」と指示して歩く、という実態も一部にはあったということで、これなんかは民間には到底マネのできない官業向けの仕事ですし。いや、単純にいえば、民間にやらせて成り立つところは民間にやらせればいいし、やるべきことだが民間ではできないことは官の仕事として官がきちんとやる、というのが基本的な考え方だと思います。