官僚の言い分

またまた天下りネタです。石原信雄氏といえば官僚の親玉のような人ではありますが、そういう人でなければ言えない(それなりに)大事なオピニオンもあるということで。

官房副長官・石原信雄氏に聞く 国家公務員、三流の人材でいいのか

 国家公務員は国家の一翼を担って政策形成に参画できる。そのやりがいが中央省庁に就職する動機だろう。同時に、若いうちは多少、民間の一流企業より給与が劣っていても、長い目で見ると再就職先も確保されており、安んじて公務に全力投球できるという思いがあって初めて一級の人材が集まってきた。
 そうした人材が政策の企画立案に携わって、この国が国際社会の中で何とか立ちゆくような状況を作ってきた。これからの国際競争を考えると、再就職に不安を持たせることで、有能な人材が集まらなくなることが心配だ。いわゆる二流、三流の人材しか公務員にならなくてもいいと割り切るのかどうか、大いに議論してもらいたい。
 国民の信頼を裏切るような公務員の行為に厳格に対処することは必要だ。ただ、一部にけしからん公務員がいたからといって公務員全体の評価を下げ、処遇も全国民の平均値で良いとすれば、当然、平均値程度の人材しか集まらない。そういう状況を続けて、この国の将来は大丈夫なのか。
 1999年に公務員制度調査会(首相の諮問機関)の会長代理として行った答申で、人材バンクの創設を提言した。その理由は、各省割拠主義、縦割りの弊害の除去にあった。定年後の再就職を各省ごとにあっせんしていることが、公務員の各省への帰属意識を強固なものにしているからだ。
 安倍内閣の改革は予算や許認可権限を背景とした押しつけ的な再就職あっせんを全面排除するために、各省ごとの退職管理を禁止し、内閣が一元的に人材活用を図ろうとするものだ。その考え方自体は賛成だが、公務員側には、必ずしも自分が希望するような再就職が保証されないという不安感がある。再就職を一元管理する官民人材交流センター(新・人材バンク)を確実に機能させるためには、センターが各省退職者の人事情報と受け入れ側の求人情報をしっかり把握し、再就職を約束できる形にすべきだ。国家公務員が不安に陥る状況は国政遂行上、決して良いことではない。(聞き手 中沢謙介)
(平成19年5月1日付読売新聞朝刊から)

これは一面の正論ではあるのだと思いますが、さはさりながら民間に威張り散らすこと(というのはかなり極端な言い方ですが)が公務員の魅力だというのはまずいというのも一面の真理だとも思うわけで。で、繰り返し書いていますが、「再就職の約束」ではなく、「定年まで各省庁で勤め上げる」ことを可能にしていくことが重要ではないかと。「年下の上司には仕えたくない」なんてことは言えない時代ですよ。