法の抜け穴

2004年に国土交通省関東地方整備局を退職した幹部職員OB(60)が退職と同時に、同局から港湾工事を多数受注する海洋土木(マリコン)大手「東亜建設工業」(東京都千代田区)で勤務していたことがわかった。国家公務員法は退職後2年間、関係企業への天下りを原則禁止し、同省の内規でも大手マリコンへの天下りは無条件で禁じているが、OBは中小の下請け会社に就職、東亜の支店に出勤する形をとり規制をかいくぐっていた。同省は、規制を骨抜きにする悪質な行為として、同様の事例がないか調査に乗り出した。
 このOBは、同整備局港湾事業課長など、東京湾公共工事の発注関連部局を歴任し、事業計画官だった04年4月1日に退職。翌2日付で、国交省の承認を受けて、東亜の「協力会社」と呼ばれる下請け業者「たにもと建設」(横浜市)に再就職し、技術部長に就任した。
 ところが、たにもと建設と東亜建設工業横浜支店は2日付で、「業務委託契約」(2年間)を締結。東亜はたにもと側に毎月、技術指導の名目で100万円の委託料を支払い、OBは同支店で勤務することになった。
 OBは、同支店の土木部長席の隣に机を置き、週3日以上出勤。支店の社員旅行などにも参加し、支店内では「部長」と呼ばれていたという。
(平成19年4月26日付読売新聞朝刊から)

本当に技術力を求めていたのであれば、こういうやり方にならざるを得ない、という部分もあるのかもしれません。そもそも、天下りを禁止するというのは間接的な解決方法にすぎないわけで、天下りと発注・受注とを無関係・中立にするための努力を重ねることが大切でしょう。いっぽうで、天下りせずに官庁で定年まで働く人をもっと増やすことも重要だろうと思います。