残りの二つ

「6つの壁」の5つの施策ですが、残りの2つはこうなっています。

4、労働市場グローバル化 →国境の「壁」の克服
 ・外国人労働者の受入のあり方
 ・国際的移動の円滑化(年金等の包括的な相互協定の推進)、等

5、職業訓練、就職斡旋の充実 →官民の「壁」の克服
 ・ハローワーク業務における官民連携のあり方
 ・若年等、就業困難者のための職業訓練のあり方、等

まずは「国境」の壁ということで、外国人労働者の受け入れのあり方、国際的移動の円滑化があげられています。
外国人労働者については、とりあえず今般の雇用対策法改正で、不法就労防止や再就職支援などを目的に、企業に対して採用・退職時に名前や国籍、在留資格などの報告を義務付ける方向になっていますが、その前提として、労働政策審議会の建議では「高度人材は積極的に受け入れ、単純労働は受け入れない」という政府の方針は堅持することとされています。いっぽうで、従来は「高度人材」には含まれないとされていた看護、介護については、フィリピンとの経済連携協定に受け入れが盛り込まれました。ここで「あり方」と言っているのは、おそらくは一段の拡大を念頭においているのでしょう。非常に多くの論点を含んだ問題であり、社会的・経済的な影響が広範囲、大規模かつ不可逆的に及ぶことが予想されますので、十分に慎重な検討が必要ではないかと思います。
少なくとも、労働条件や就労環境が劣悪で人手が集まらない職場については、外国人で補うのではなく、まずは労働条件や就労環境の改善を図るべきだというのはひとつの正論ではないかと思います。いっぽうで、介護の分野では利用者の支払能力に限界があるうえ、介護保険などの公費による負担にも限界があることも考えると、介護関係団体などが公費の追加的投入による処遇改善を求めるかたわら日本の資格を取得した(日本語のコミュニケーションに問題のない)外国人の受け入れを拒絶しているのはいかにも業界エゴという印象もあります。日本が世界で最も自由貿易の恩恵を享受している国の一つであることも間違いないわけで、そうそう簡単にサービス貿易自由化を否定することも難しく、なかなか一筋縄ではいかない問題といえましょう。なお年金協定などについては地道に取り組んでいく必要があるでしょう。
官民の「壁」については、民間開放ではなく「官民の連携」という表現になっているところに苦心の跡が窺われますが、いずれにしても民間開放、民間の活用の拡大が念頭に置かれているものと思います。就業困難者のための職業訓練のあり方が官民の壁のところに入れられているのも、民間のほうがより産業・経済のニーズに合った訓練を提供できるという意味かもしれません。まずは官民それぞれのパフォーマンスを評価するのがスタート地点になるのでしょうか。

「6つの壁」の5つの施策ですが、残りの2つはこうなっています。

4、労働市場グローバル化 →国境の「壁」の克服
 ・外国人労働者の受入のあり方
 ・国際的移動の円滑化(年金等の包括的な相互協定の推進)、等

5、職業訓練、就職斡旋の充実 →官民の「壁」の克服
 ・ハローワーク業務における官民連携のあり方
 ・若年等、就業困難者のための職業訓練のあり方、等

まずは「国境」の壁ということで、外国人労働者の受け入れのあり方、国際的移動の円滑化があげられています。
外国人労働者については、とりあえず今般の雇用対策法改正で、不法就労防止や再就職支援などを目的に、企業に対して採用・退職時に名前や国籍、在留資格などの報告を義務付ける方向になっていますが、その前提として、労働政策審議会の建議では「高度人材は積極的に受け入れ、単純労働は受け入れない」という政府の方針は堅持することとされています。いっぽうで、従来は「高度人材」には含まれないとされていた看護、介護については、フィリピンとの経済連携協定に受け入れが盛り込まれました。ここで「あり方」と言っているのは、おそらくは一段の拡大を念頭においているのでしょう。非常に多くの論点を含んだ問題であり、社会的・経済的な影響が広範囲、大規模かつ不可逆的に及ぶことが予想されますので、十分に慎重な検討が必要ではないかと思います。
少なくとも、労働条件や就労環境が劣悪で人手が集まらない職場については、外国人で補うのではなく、まずは労働条件や就労環境の改善を図るべきだというのはひとつの正論ではないかと思います。いっぽうで、介護の分野では利用者の支払能力に限界があるうえ、介護保険などの公費による負担にも限界があることも考えると、介護関係団体などが公費の追加的投入による処遇改善を求めるかたわら日本の資格を取得した(日本語のコミュニケーションに問題のない)外国人の受け入れを拒絶しているのはいかにも業界エゴという印象もあります。日本が世界で最も自由貿易の恩恵を享受している国の一つであることも間違いないわけで、そうそう簡単にサービス貿易自由化を否定することも難しく、なかなか一筋縄ではいかない問題といえましょう。なお年金協定などについては地道に取り組んでいく必要があるでしょう。
官民の「壁」については、民間開放ではなく「官民の連携」という表現になっているところに苦心の跡が窺われますが、いずれにしても民間開放、民間の活用の拡大が念頭に置かれているものと思います。就業困難者のための職業訓練のあり方が官民の壁のところに入れられているのも、民間のほうがより産業・経済のニーズに合った訓練を提供できるという意味かもしれません。まずは官民それぞれのパフォーマンスを評価するのがスタート地点になるのでしょうか。