労基法改正法案は結局見送り

ホワイトカラー・エグゼンプション(WE)を含む労働基準法改正法案の提出は、結局先送りになるようです。

 安倍晋三首相は十六日夜、一定条件を満たす会社員を労働時間規制から外す「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」を導入するための労働基準法改正案について「現段階で国民の理解が得られているとは思わない。働く人たちの理解がなければうまくいかない」と述べ、二十五日召集の通常国会への提出は困難との認識を示した。…今後、関連法案すべての提出を見送るのかどうか調整を急ぐ。
(平成19年1月17日付日本経済新聞朝刊から)

首相がそう言ったというのですからそうなのでしょう。まあ、先日のエントリでも書きましたように、今国会提出・成立を実現するために職務記述書を持ち出してきたり、対象者を少なく見せる努力をしたり、職種を限定するといったアイデアを担ぎ出したりするなど、あまり好ましくない手段をあれこれ講じざるを得ない状況でしたので、あまりおかしなことにしてしまうくらいなら、先送りのほうがかえっていいかもしれません。もともと、検討・議論の時間が不足しているとの意見は労使双方にあったわけですから、思いがけず追加的な議論の時間が得られたことは幸便だったともいえるわけで、あらためてよりよい制度のあり方を議論してみてほしいものだと思います。
そういう意味では、関連法案も、最低限でも労働基準法(の他の部分)は見送るべきでしょうし、これまでの経緯からして労働契約法も見送るのが筋というものでしょう。「再チャレンジ」やらなんやらのお題目で労働政策を一体的に見直すのだという立場であるのなら、パート労働法も雇用対策法も見送るのが見識というものだという考え方もあるかもしれません。まあ、雇用保険法まで見送る必要はなさそうに思いますが…あ、あと社会保険庁改革もあるんだっけ。