解雇規制

きのうの日経新聞夕刊で、売れっ子エコノミストの一人であるJPモルガン証券の菅野雅明氏が「十字路」というコラムを執筆しています。

非正規雇用者の待遇を改善する必要があるが、そのために派遣労働者の契約更新回数に上限を設けるのは現実的な対応でない。単に派遣労働者の短期雇用化を促進するだけだ。
 むしろ正社員の解雇が極めて困難という現実を直視すべきだ。企業は解雇が困難な正社員の雇用を最小限にとどめようとするからだ。雇用の流動化は決して労働者に不利とばかりは言えない。労働者が普遍的な人的資源を蓄積できれば他社への転出も容易になる。労働者の自覚を促すというプラスの面もある。非正規雇用の増加という格差問題の解決は正規雇用者の過保護規定を変えることが基本だ。
(平成18年8月12日付日本経済新聞夕刊から)

これもよく聞く話なのですが、繰り返し書いているように、解雇が困難になることも織り込み済で長期雇用、内部育成・内部昇進していく社員と、一時的・循環的ニーズに対応するための有期雇用とでは処遇が異なるのは当然なわけで。その違いを小さくするために解雇規制を緩和するというのも、なんだか本末転倒というか、逆転した理屈だという気がするのですが。