まだ半年ある?

昨日、労働条件分科会の再開のめどが立たないという話を取り上げましたが、このままだと時間切れで厚労省のめざす2007年通常国会での成立は難しくなるかもしれません。従来から月2回程度のハイペースで分科会を開催してきたわけですが、6月27日に中断して、現状では「7月中に公労会議、公使会議」ということですから、少なくとも2回は分科会が飛んでしまったということになります。
戸苅厚生労働事務次官は6月30日の記者会見で、この件についてこう答えていました。

(記者)
 労働契約法の労政審が、先日、労使双方から物言いがついて、一時中断というか、先の見通しが見えない状態になっているんですが、今後のスケジュールというか、来年に向けてのスケジュールの見直しみたいなお考えというのはありますでしょうか。

(次官)
…いずれにしても、我々としては、働き方が非常に多様化し、個別化している。それから、労働組合の組織に属していない労働者の割合も非常に高まっているという中で、労働契約法制、それから労働時間法制の整備というのは急務だと思っていますので、当初から目指しております来年の通常国会に関連の法案が出せるように、労使、それから公益委員の方々の協力を得ながら進めていくようにしたいと思っているということで、まだ半年ありますので、労使それぞれが納得していただけるような形できちんと議論が出来るような状況に早く戻すということが、当面は一番重要だろうと思っています。
http://www.mhlw.go.jp/kaiken/jikan/2006/06/k0629.html

ふーむ、次官としては「急務」との認識はあるわけですね。で、来年通常国会はまだギブアップしていませんと。しかし、これだけのボリュームのある法整備の議論、しかもここまではまだ入口のところでうろうろしている(これは労働サイドの進行妨害?もありそうですが)わけで、「まだ半年ある」というのはいかにも悠長な考え方ではないでしょうか。せめて「もう半年しかない」という認識でないと困るような気がします。
実際、これだけの法制定となれば、やはりなんらかの形で中間的な議論の整理を行い、公表してパブリックコメントを実施するという手続は必要だろうと思います。それまで含めてあと半年でやるというのはそもそもかなり無理があるでしょう。
すでに「まだ半年」のうちの1か月が空転(まあ、事務レベルではいろいろと折衝しているでしょうから、まったく空転しているわけではないでしょうが)してしまったのですから、そろそろ記者の質問にもあるように、スケジュールを考え直したほうがいいのではないでしょうか。労働審判制度が先行してスタートしているなどの事情もわかりますが、論点が非常に多いのですから、1年はスケジュールを延ばして、十分な議論を行ったほうがいいのではないかという感じがします。