上昇に転じた労働分配率

ジェンフリ・バトンのおかげで(笑)なんとか追いつきました。というわけでようやく新ネタですが、今朝の日経新聞によると、労働分配率が3年9カ月ぶりに上昇に転じたそうです。

 好調な業績を背景に企業が人件費を増やしている。財務省が5日発表した1−3月期の法人企業統計をもとに試算すると、企業が生み出した付加価値がどのくらい労働者に回ったかを示す「労働分配率」は下げ止まりが鮮明になった。一方、原油高は企業収益を圧迫し始めており、企業がコスト上昇分をどこまで販売価格に転嫁できるかが今後の設備投資などのカギを握ることも、法人企業統計からうかがえる。
 1−3月期の人件費は42兆7800億円と前年同期比で2.0%増えた。七・四半期連続の増加で、特に従業員給与が2.8%増えた。生産・販売活動の活発化で企業は人手不足に直面し、雇用を増やしている背景がある。
 人件費の増加で労働分配率も上昇に転じた。第一生命経済研究所の試算によると、1−3月期は77.2%(四・四半期移動平均)と昨年11−12月期よりも0.1ポイント上昇した。上昇は2002年4−6月期以来、3年9カ月ぶりだ。
 企業はバブル崩壊後に過剰雇用を抱え、人員削減を進めてきた。労働分配率も近年、低下し続けたが、企業収益の高まりが雇用・賃金の増加に波及。1992年と同水準で下げ止まり、反転する公算が大きくなった。
(平成18年6月6日付日本経済新聞朝刊から)

雇用者も増え、労働市場も逼迫してきましたから、賃金が上がるのはいたって自然な話で、したがって労働分配率も上昇に転じるというのももっともに思えます。しかし、この記事には1990年以降の労働分配率が掲載されているのですが、これを見る限りではバブル崩壊後に労働分配率が上昇しています。これはまさに企業が雇用を守った結果、労働分配率が上昇したとみるべきでしょう。94年頃から一進一退となり、景気回復に入った2002−2003年以降は低下しています。そう考えると、90年頃の、70%台前半くらいまではまだ下がる余地があるのかもしれません。