村上ファンド

村上世彰氏についてはこのブログでもときどき批判的に言及してきましたが、とうとう逮捕となってしまいました。やはり一言あるべきだろう(笑)ということで、これに関する連合の事務局長談話をご紹介。

村上ファンドの手法は、消費者不在の金融・株式市場において、企業を単なる金儲けの道具としか見ず、株価至上主義のもとでいたずらに株価を高めて資本市場を混乱させ、その間隙をぬって株を売り抜けて利益を得るというものかのように見える。…連合は、これまでも企業価値を株価のみで捉え、マネーゲームで企業を売買する風潮に強い懸念を表明してきた。企業は誰のものか?この問いに対して、連合は、株主のものであることを否定するものではないが、株主だけでなく、取引先や顧客、ひいては従業員のものであると考える。株価至上主義・株主絶対主義に対して、連合は改めて警鐘を鳴らしたい。
http://www.jtuc-rengo.or.jp/news/danwa/2006/20060605_1149504069.html

若干意味不明なところもありますが、大筋においてはまことにそのとおりでありましょう。


ただ、続けてこう述べていることについては、

 それに加え、いきすぎた金融市場の規制緩和市場経済万能主義を改め、あらゆる局面で進行している格差を是正し、働くものが報われる「労働を中心とした福祉型社会」「安心で公正な社会」の実現に向け、全力を挙げて連合は取り組む。
http://www.jtuc-rengo.or.jp/news/danwa/2006/20060605_1149504069.html

即座に政策制度に結びつける(「あらゆる局面で進行している格差」にまで結びつけるのはちょっと強引では?)よりは、従業員の意欲と安心が株主価値の向上につながる、というよりは不可欠であるということを指摘してほしかったように思います。もっとも、このブログでも書いたと思いますが、私も短期保有株主の権利は大幅に制約すべきと考えていますので、連合がそういう方向を意図しているのであれば賛同します。もちろん、リスクの大きい新興市場と、経営が比較的安定している東証一部とでは制約の程度が異なってくるのは当然ですが。
いずれにしても、私は連合がこの談話を出したこと自体を大いに高く評価したいと思います。以前も書きましたが(たとえばhttp://d.hatena.ne.jp/roumuya/20050119)、連合は経営者を批判するのではなく、むしろ経営者に圧力をかけている投資家をこそ批判すべきだと私は常々思ってきました。そういう意味では、逮捕されてようやく談話というのはいささか弱腰という感はあるのですが。