阪神労組、村上ファンドの経営参加に反対

阪神電鉄の労組が、村上ファンドによる経営参画に反対を表明したそうです。

 阪神電気鉄道労働組合は4日、村上ファンドの経営参画に反対する姿勢を表明した。阪神労組は「ファンド側役員が取締役会の過半数を占めれば、中長期的な観点からの健全経営に相反する結果を招く可能性が高い」とし、争議も辞さない姿勢を示した。

 村上ファンドは4日、阪神労組が同ファンドの経営参画反対を表明したことに対し「鉄道の安全優先はもとより労働者の地位の尊重は当然」とのコメントを公表。労組や幹部社員などと話し合う考えがあるほか「応じていただけるならば、いつでも公開討論に応じる用意がある」としている。
(平成18年5月5日付日本経済新聞朝刊から)

そういえば、ライブドアニッポン放送株を買い占めたときにも同じようなことがありました。まあ、株主と従業員の利益は単純に考えれば相反するように思えるわけですが、現実には、応分の見返りを配分することで従業員の協力を得ながら生産性の向上を進め、それを通じて中長期的に利益の拡大、株主価値の向上をはかるという経営手法が広く採用されています。鉄道会社は自然独占色が強いわけですが、しかし労使が対立していては利益を拡大することは容易ではないはずです。
労使関係は理屈だけで割り切れるものではなく、「資本の論理」で押し切れるものでもないでしょう。「公開討論」というのは、要するにジャッジとして多くの人が見ているところで「自分たちの理屈が正しい」ことを示したい、ということなのでしょうが、議論に勝ったところでそれだけで従業員の人心をつかめるわけでもなかろうと思います。まあ、村上ファンドとしては交渉の駆け引きで、本気で阪神を経営するつもりまではないのかもしれませんが(というか、村上さんご本人を含めて、村上ファンドに鉄道会社の経営ができるとは誰も思っていないでしょう…)。