ホワイトカラー・エグゼンプションの労使委員会決議は機能するか

Q.ホワイトカラー・エグゼンプション(WE)は労使委員会決議が要件になっていますが、わが社の労組は御用組合で会社のいいなりなので、そんな要件があっても無意味だと思うのですが。

労使委員会については、すでに企画業務型裁量労働制の導入に必要とされており、必要な事項なども指針などで示されています。WEにおいても同様の整備が行われるものと思います。もちろん、いくら要件として定められていても、それがきちんと企業労使の現場で行われなければ意味がありません。現実には36協定の締結などをみても十分行われていなかったり、総務課長が労働者代表になって形式的に36協定を作成、届け出ている例などもありますから、WEの労使委員会決議もきちんと行われるかどうか心配だというのもわからないではありません。
これは監督行政がしっかり監督するしかないわけで、分科会報告をみると、労使委員会決議について「制度の導入に際しての要件として、労使委員会を設置し、下記(2)に掲げる事項を決議し、行政官庁に届け出ることとすること。」となっています。届出を要件としているということは、出てきたら監督するという意欲を示しているということだろうと思います。また、十分な手続をふまずにWEを導入しているといった情報が寄せられれば、役所は当然調査、監督に乗り出すでしょう(乗り出さなければなりません)。したがって、WEを導入するにあたっては、その要件(労使委員会に限らず)をしっかりと広報し、働く人々に周知をはかる必要があるということになります。
なお、企画業務型裁量労働制の導入状況をみると、労使委員会を設置してこれを導入している企業は、結果的には労働組合があるか、なくても従業員会などの組織があってしっかり運営されている大企業に限られているようです。労使委員会決議要件は、事実上労使関係の安定した大企業でないと導入は難しいという間接的な規制になっているようです。WEに対してさまざまな懸念が表明されている中では、まずは労使自治が機能し、人事労務管理がそれなりに充実している大企業中心の導入となるような要件をおくことは合理的と考えられるかもしれません。
なお、自分の所属する労組が「御用組合」であるか否か、それが悪いことなのかどうかは個人の判断によって異なってくるでしょうが、労組が指名した委員が労使委員会決議に賛成することが不満であれば、自ら労組の執行委員となって方針変更を働きかけるとか、あるいは自ら別組合を立ち上げて企業内で多数の組合員を集めるといった手段をとるのが正論であり、だから労使委員会決議を必要とするWEを導入してはならないという理屈にはならないはずです。もちろん、別組合をつくるといったことは容易ではないわけですが、それは結局過半数労組にそれだけの代表制を認めざるを得ないということであるはずです。