労基法違反で実刑判決

 今朝の読売新聞によると、北海道で、労基法違反事件で実刑判決が出たそうです。

 中国人技能実習生を含む従業員計35人に賃金を支払わず、労基法違反(賃金未払い、時間外労働など)の罪に問われた、室蘭市内の縫製会社「ルックラン」(休業中)の元社長、アルバイト運転手木山奉正被告(60)(さいたま市大宮区三橋在住)の判決公判が23日、札幌地裁室蘭支部で開かれた。
 住友隆行裁判官は「給料の支払いを見込めないのに、従業員らを働かせた行為は言語道断」として、木山被告に懲役7月(求刑懲役9月)を言い渡した。
 判決によると、木山被告は2004年2月から同9月にかけて、中国人技能実習生11人を含む従業員計35人に、約1万時間に及ぶ時間外労働をさせたほか、同期間に生じた賃金や時間外労働、休日労働などの割増賃金など計約3300万円を所定の支払日に支払わなかった。
(平成18年3月24日付読売新聞朝刊から)

なるほど、被告は会社がつぶれて、埼玉県に移り住んで運転手のアルバイトをしていたわけですな。実刑判決が出るということは、おそらく、審理に出なかったりして裁判所の心証が悪かったのでしょう。あるいは再犯だったのか。
目をひくのは、「求刑懲役9月、判決懲役7月」というところです。賃金不払いや時間外労働の協定違反などの罰則は労基法では「6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金」とされていますが、求刑も判決もこれを超えています。懲役が6ヶ月を上回るのは労基法では強制労働、中間搾取、児童労働、坑内労働に限られており、今回はどれを使ったのでしょうか。強制労働か、あるいは中国人実習生を使っていたということなので中間搾取か。いずれにしてもこれだけ重い実刑判決は労基法違反では珍しいのではないでしょうか。監督官も検事もよく頑張ったな、という感じです。