またまたYKK

先週取り上げた、日経新聞の「YKK就職活動応援イベント」の全面広告ですが、なんと続きがあったようです。それどころか、よく読むとまだ続きが2回あるのだとか。ちなみに日経のホームページにはさらに詳細に掲載されていますので、今回はこちらを参照します。コピペもできて楽だし(笑)。
http://nikkei.hi-ho.ne.jp/ykk/session02/01.html
http://nikkei.hi-ho.ne.jp/ykk/session02/02.html
http://nikkei.hi-ho.ne.jp/ykk/session02/03.html

で、今回はキャスターの生島ヒロシ氏の講演があり、メインは氏とYKKの吉田社長との対談ですが、これがまた「困った電波」ふりまきまくりです。


たとえば、生島氏は講演でこんなことを言っています。

 僕自身も50歳を過ぎてから、ファイナンシャルプランナーを始め、さまざまな資格に挑戦しました。資格を取ることで仕事の幅も広がりました。

生涯学習の大切さを言っているのならよくわかるのですが、しかし就活に臨む学生さんに例のごとき「資格神話」を植え付けてしまいかねないという弊害が心配です。
それから、

生島 僕もそもそも人前で話すのが苦手でした。そのコンプレックスをはね除けたいとの思いが、アメリカに行くことにつながりました。そこで自己アピールやスピーチの重要性を知りました。
吉田 アメリカは特にそうですね。海外では言葉のコミュニケーションが重要ですから、きちんと話さなければいけないと、まず言われます。

 ですから、海外に進出する際の人選では、特に人とのコミュニケーションが取れる人かどうかを判断しています。人に好かれ、人が集まってくるような人でなければなりません。

コミュニケーション能力キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
まあ、海外ビジネスの話なので、そういう部分もあるでしょうが、「人に好かれ、人が集まってくるような人でなければなりません」ってのもねぇ…私は絶対ダメだな(笑)。もちろん、「コミュニケーション能力」はビジネスでは非常に重要で、ほとんどの企業が社員の採用にあたって重視しているわけですが、意味するところはかなり異なります。重要なキーワードである「コミュニケーション能力」に対する理解や認識が、ピントが外れたり、ベクトルがずれたりしているところに大きな問題があるわけですが、その原因の一端は企業にもあるということの一例といえましょう。
もうひとつあげると、

生島 社長はその後、アメリカでMBAを取得されていますが、そこで印象に残ったこととは。
吉田 マーケティングのバイブルと言われる本を書いたコトラー先生の授業を真っ先に取りました。…これから社会に出て仕事をする立場として、自分を準備するという意味で、かなり意識して学んだ3年間となりました。

はあ、MBAがよほどご自慢のご様子で。もちろん、十分自慢に値するものではありますが、しかし就活に臨む学生にこうまで繰り返して聞かせなければいけないものなのかと。
さすがに現役の経営者だけあって、「(経営後継者の勉強として)労働組合の委員長をやれ」とか(しかし、創業社長の二代目のMBAホルダーが労組の執行委員長というのも凄いものがありますが)、「技能者と言われる人は20年、30年とコツコツと技能を培い、初めて世界の名工となります。それも大事です」とか、製造業経営者らしい優れた見識も披露されていますが、それは別として、経営者が自ら「就職・採用」を語るときの危うさがよく出た広告のような気がします。