連合2題

定率減税

連合はこの25日、政府税調の答申に対する事務局長談話を発表し、定率減税全廃反対を強く訴えています。基本的に、労組が勤労者の税負担増に反対するのは当然と申せましょう。
http://www.jtuc-rengo.or.jp/new/iken/danwa/2005/20051125.html

 政府税調は、「恒久的減税」見直しの2要件、すなわち景気回復と税制の抜本改革が実現されたとして定率減税の廃止を提言した。しかし、景気については、一部経済指標が上向いているものの、いまだ勤労者家計には波及しておらず、加えて、今春決定された定率減税の半減が来年1月から実施される状況にあり、可処分所得の減少が経済に悪影響を与えることが懸念される。税制の抜本改革も、国と地方の税収配分の調整だけが提起されたに過ぎない。不公平税制の是正、所得再分配機能の再構築など、本来行うべき抜本改革に関する議論は手つかずとなっており、見直し条件が整ったとはいえない状況下で定率減税を全廃させることは、断じて許すことができない。

ただ、定率減税というものは、上限が設けられてはいるものの、上限に達するまではいわゆる「逆進性」の問題をともなうものではないかと思うのですが、私の勘違いなのでしょうか?だとすると、「所得再分配機能の再構築」をめざすのであれば、むしろ定率減税の全廃は一理あるようにも思うのですが、どんなものなのでしょうか?まあ、それ以上に足元の負担増が痛い、というのはよくわかるのですが…。

労働契約法

今日、連合のホームページで、連合が作った労働契約法反対のチラシが公開されていました。
http://www.jtuc-rengo.or.jp/new/kangaeru/koyou/r_keiyaku_jikan/data/chirashi.pdf
まあ、連合の切実な危機感はわかるのですが、はたしてこれはいかがなものか。
特に、労使委員会制度に関しては、使用者とおぼしき人物が、「労使委員会」と書かれたロボットを操り、賃下げ、解雇、合理化、退職金カットと書かれたビラをばらまいている絵が描かれ、地の文では「労使委員会を設置して、労働条件の協議や就業規則変更の合理性推定など、労働組合に似た機能を持たせようとしています。」と訴えています。
現実には、労働契約法制の「研究会報告」で提言され、これから議論されようとしている労使委員会制度は、チラシの絵が示唆しているように、解雇や賃下げが自由自在にできるようになる、というものではまったくありません。地の文は一応研究会報告にそっていますが、「えと文」(謎)の食い違いははなはだしいものがあります。これはいささか研究会に対して失礼ではないでしょうか。
また、対等性については地の文でも「労働組合と違って、対等な立場で使用者と協議できません」と書いています。まあ、その心配はごもっともですが、現状をみたときには、「対等な立場」以前の問題として、「協議そのものが行われていない」、使用者によって一方的に就業規則変更などが行われてしまっている、ということのほうがはるかに大きな問題でしょう。そう考えれば、労使委員会の全否定よりは、労使委員会を労組がいかに支援し、さらにはいかに組織化につなげていくか、という戦略的な発想こそが望ましいのではないかと思うのですが、これは外部者の余計なお世話というものでしょうか。
もちろん、労使委員会制度についてはさまざまな論点があり、詳細が不明(これから議論するということでしょうが)なこともあって、私も必ずしも全面的に賛成というわけではありません。ただ、少なくともとりあえずこのチラシについては、「労使委員会が導入されると労組が不要になるのでは」(私はそうはまったく思いませんが)という、連合の「組織防衛」の理屈があまりに露骨に全面に出すぎていて、いささか節度にも欠けるように感じるのですが、どうなのでしょう。