民主党代表に前原氏

民主党の新しい代表が前原誠司氏に決まりました。
マスコミなどでは、前原氏の路線について「労組との決別」と書き立てています。郵政労組との関係で郵政民営化に明確なスタンスを取りきれなかったこととの関連で書かれているようですが、だとすると単調な「労組との決別」は必ずしも当たらないような気もします。
実際、今朝の報道などをみると、政調会長代理に労組系の直嶋正行氏があてられているようです。これは一応、労組とのバランスにも配慮したということなのかもしれませんが、労組の一部とは政策的にも協調できるということなのかもしれません。
一口に労組とは言っても、政策的には連合内部にも相当の相違があります。連合の成立以降はやや鳴りをひそめた感はありますが、かつての同盟、民間連合はかなり積極的に行政改革路線を主張・支持していましたし、なかでも直嶋氏の出身母体である自動車総連を主要メンバーとする金属労協はかなり先鋭的な行革推進運動を進めていたように思います。であれば前原氏の路線とも相容れる可能性は高いわけで、民主党が「労組と決別」するにしても、それは一部の組織、具体的には官公労などを中心とする一部組織にとどまるのではないでしょうか。
そう考えると、連合がどう対応するのかが注目されます。時あたかも連合会長も交代の時期であり、新会長の高木剛氏の出身母体であるUIゼンセン同盟は幅広いウィングを包括する組織ですが、高木氏自身は民間製造業の旭化成労組出身でもあり、根本的には前原氏の政策にシンパシーがあるのではないでしょうか。ナンバー2の事務局長には電機連合出身の古賀伸明氏が予定されていることでもあり、連合の政策対応がより現実的なものになることを期待したいところです。もっとも、当初は古賀氏の会長就任が有力視されていたところが、一転して高木氏に変わったというのは、いささか反動的な動きとみるべきなのかもしれませんが・・・。
そういえば、UIゼンセン同盟の組織内議員である川端達夫氏は、先日の総選挙では民主党幹事長の立場にありながら小選挙区で落選(しかも負けた相手はほぼ無名の落下傘候補である40歳の上野賢一郎氏)しました。比例で復活を果たしはしたものの、影響力の低下は必至でしょう。目前に迫った均等法の改正、さらには労働契約法制の導入という大きな課題を前にして、先般の労基法改正のときのような連合=民主党の共闘が今後も実現するのか、ある意味正念場なのかもしれません。