パートの賃上げは当然

今朝の日経新聞で、流通各社がパートの賃上げ要求に取り組むと報じられていました。

 スーパーなど流通企業で、組合がパート労働者の賃上げを求める動きが広がってきた。UIゼンセン同盟(86万人、高木剛会長)では昨年より3割多い100以上の労組が要求を掲げる見込み。ここ数年、人件費削減のため正社員からパートへの業務シフトが進んだが、人手不足の深刻化で優秀な人材の確保は難しくなった。正社員との待遇格差是正を主張する労組に対し、経営側も柔軟な対応を迫られている。
(平成18年2月2日付日本経済新聞朝刊から)

これは当然の取り組みでしょうし、おそらくはかなりの水準の有額回答が出てしかるべきと思います。
ただ、それは日経のいうような(まあ、世間でそういう議論があるからこう書いているのでしょうが)「正社員との格差是正」ということではないだろうと思います。最近の報道にもあるとおり、足元の有効求人倍率は1倍を超え(これは相当の好況期にしかみられないことです)るという人手不足状況、しかもパートは1.4倍を超えているというのですから、当然ながら時給の水準も上がっているでしょう。であれば、それはすでに就労しているパートの待遇にも反映されるのが当然すぎるくらい当然です。そうしなければ、パートは流動性が高いだけに、より待遇のいい職場に移っていってしまうでしょう(実際、日経の記事も「優秀な人材の確保は難し」いと言っています)。
考えてみれば、労組は正社員のベアも要求しているわけで、もし正社員のベアを獲得できれば、パートで賃上げを取れても格差是正にはならないわけです。まさか労組は正社員のベアを取る気はないということはないでしょうから、それだけで「格差是正」という理屈はおかしいということですよね。