「ヒラより軽い役員ストレス」

週末の朝日新聞に、労働政策研究・研修機構の職業意識調査で、仕事にストレスを感じる人の割合が、役員クラスより平社員の方が高い、という結果が報じられていました。

 会社員の約6割はストレスを抱え、原因のトップは「会社の将来性への不安」。最もストレスを感じているのは課長で、役員は平社員より感じていない――独立行政法人労働政策研究・研修機構」の職業意識調査で、そんな結果が出た。

 現在の仕事に「精神的にストレスを感じる」と答えたのは全体の60.9%。…
 役職では、課長(69.3%)は3人に2人がストレスを感じ、係長(68.3%)もほぼ同じ。最も低いのは役員(54.9%)で、平社員(57.7%)を下回った。
 また職業生活の先行きも、「希望がもてない」(27.1%)、「わからない」(53.4%)を合わせると8割を超え、「希望がもてる」(17.1%)を大きく上回った。…
 「希望がもてない」割合は、係長と平社員で高くともに28%台。課長25.2%、部長19.4%、役員11%。役員では「希望がもてる」との回答が「もてない」の4倍で、役職が上がるほど「楽観的」だった。
(平成17年8月20日朝日新聞夕刊から)


記事は平社員がツライという書き方をしていますが、本当にツライのは中間管理職ということでしょう。過去の同じ調査だったかもしれませんが、以前も似たような結果が出た調査をみた記憶がありますので、一般的な傾向だと思っていいのではないでしょうか(多くの勤め人諸氏の実感にも合うでしょうし)。
まあ、役員クラスともなってしまえば周囲も気を使ってくれるでしょうし、つまらない雑用に手間隙とられることもないでしょうから、ストレスも多少は軽減されるということでしょうか。機構のHPにはまだこの結果が掲載されていないようですが、記事にない「部長」の感じ方がどうかが気になるところです。
ただ、考えようによっては仕事にストレスがあるのは当たり前ともいえるわけで、中間管理職でも3割以上、全体で4割近くがストレスを(あまり?)感じないと答えているほうが驚きかもしれません。
また、希望が持てるかどうかについては、すでにある程度の地位に上った人のほうが希望を持っているのは当然でしょう。もっとも、職業生活の先行きが長い平社員や係長はその分希望が持ててしかるべきではないかという気はします。もっとも、そういう人は先行き長い分だけ「わからない」という回答が多くなるのでしょうか。このあたりも詳しい結果をみてみたいものです。
それにしても「希望がもてる」が17%というのはちょっと低いかな…という感じですが、まあ、「はっきりはわからないけれど希望がもてそうもない」という人には「もてない」と回答する人が多そうなのに対し、「希望がもてそうな気もするけどはっきりしない」という人には「わからない」と回答する人が多そうな感じもありますので、まあこんなものかもしれません。ということは、記事が「もてない」と「わからない」を合算して、その数字が「もてる」を大きく上回る、と書いているのはいささか不適切でしょう。
いずれにせよ、ストレスの感じ方も希望のもち方(?)も個人のパーソナリティによってずいぶん違うでしょうし、ストレスに強い人、楽観的な性格の人ほど上位のポストに昇進しやすいという傾向がある可能性は否定できませんから、この結果から一律になにかをいうのは慎重であるべきなのかもしれません。