自民党のマニフェスト

先日、民主党マニフェストを取り上げましたが、続けて自民党のものも出てきました。例によって労働分野の記述をみてみたいと思いますが、自民党ホームページにはタイトルだけしか出ていません。20日付の毎日新聞日経新聞の朝刊に「要旨」が出ていて、較べて読んでみるとほとんど同じなので、これが自民党の公式サマリーなのでしょうか。そこから雇用関連部分を抜き出してみます。

 35 各世代に応じた職業能力開発基盤の整備=若者の教育訓練に取り組む企業への支援、職業能力開発休暇の普及、労働者のキャリア形成促進などの施策を法的整備も含め講ずることにより、各世代に必要とされる職業能力の開発・向上を促進する
 36 団塊の世代の高齢化(07年問題)に伴う技能継承の支援=熟練技能を多く保有している中小企業の技能継承を確実にするための助成措置を拡充する
 37 非正規労働者対策の充実=短時間正社員制度の導入促進、パートタイム労働者の処遇の改善、正社員への転換制度の普及・定着等、パートタイム労働対策を充実・強化する
 38 雇用ミスマッチ解消に向けた雇用対策の推進=ハローワークにおける個々の求職者への総合的な支援の充実、雇用情勢が厳しい地域に重点化した雇用対策の充実、シルバー人材センター事業の拡充等により、雇用のミスマッチを解消する
(平成17年8月20日毎日新聞朝刊から)

内容以前の問題として、この記述が5つあるテーマのうち、「テーマ2:【国際競争力・成長分野】日本の産業に、たくましさと活力を。」に分類されているところに好感が持てます。仮に民主党が雇用問題をこの5つのテーマのいずれかに分類したとしたら、おそらくは「テーマ3:【安心・安全】誰もが不安なく暮らせる日本へ。」に分類したでしょう。私は、雇用・労働とはそれを通じて経済が活性化し、国と国民とが豊かに、幸福になるものであって、国民の安心のために国家が分け与えるものではないと考えているからです。
それはそれとして、中身をみると案外民主党と共通するものも多いようですが、さすがに民主党のようなバラマキ施策はここではないようです(「中小企業の技能継承を確実にするための助成措置」というのが若干クサイですが)。
「短時間正社員制度」とか、全体的にこちらは厚生労働省の施策をそのまま持ってきたような印象があります。民主党が連合なら自民党厚労省か。なんだかなあ。ただ、こちらも目下懸案の「労働契約法制」などへの言及がないのは淋しいところ。まあ、労働問題はさほど争点ではないので、政党としてもあまり高い関心はないのは致し方ないのでしょうが。