おなつかしや、寺脇研氏

日曜日の日経新聞で、文部官僚で「ゆとり教育」のスポークスマン的存在だった寺脇研氏がインタビューに登場していました。おひさしぶり、という感じですが、現職は「文化庁文化部長」となっています。このポストはキャリアとしてはどうなのでしょうね。

 ――現行学習指導要領は間違っていたのか。
 「理念は間違っていない。ただ中学理科で元素の周期律表が消えたことの是非など、細部は専門家の検討が必要だ」
 ――学力の低下が指摘されている。
 「学力だけを尺度に判断するのは乱暴だ。新指導要領、学校五日制などの改革で目指したのは教育の学校中心主義を是正し子どもを地域、家庭に戻すこと。そうした部分の検証こそ重要だ」

 ――では失政でもないし、行政の責任もないと考えているのか。
 「学力が下がり子どもの心が荒れ、家庭や地域の状態も悪化したのなら、ゆとり教育は失敗だったといえるが、まだそうではない。失敗でない以上、責任はない。今の責任は総合学習を軌道に乗せるため、潔く必要な修正を加えることだ」
 ――教育内容の三割削減で学習の定着度が高まるのではなかったか。
 「いや、内容厳選の狙いは授業が分からない子をなくすことだ」

 ――誤算はないと。
 「学力低下批判も含め想定の範囲内。三歩進んで二歩下がる感じだ」
(平成17年7月10日付日本経済新聞朝刊から)

いやはや、ひさしぶりにお目にかかりましたが相変わらず、という感じでしょうか。官僚の辞書には「誤り」もなければ「責任」もない、ということのようです。しかし、絶対に間違ってはいけない、という仕事はホント大変でしょうね。冗談でも嫌味でもなく、本当に同情を禁じ得ません。ある意味、「オレが責任とるから思い切ってやれ!」と言える民間企業のほうがはるかに楽なのかもしれません。