マスコミ式変形マッチポンプ

もうひとつマスコミネタです。こんな報道がありました。

 JR西日本の姫路列車区で「会社内外を問わず、事故又は事故に関連して会社のことを公言することを慎むこと」との内容の文書が乗務員に配られ、署名・なつ印して提出を求められていたことが17日、分かった。同列車区を管轄する神戸支社は「提出は強制でなく、犠牲者や遺族への配慮として区長が作成したが、誤解を招いてしまった」としている。
 「会社の現状を把握し、責任ある行動を」と題した文書で、姫路列車区長が13付で同区の運転士と車掌約200人に配布。4項目の行動規範を示し、公言禁止のほか、社内レクリエーション活動や懇親会、宴会の自粛のほか、家族や親類とのプライベートな旅行も控えるよう求めている。脱線事故後、行動の是非について疑問の声が職場で上がったことから、同区長が作成したという。
(平成17年5月17日付毎日新聞夕刊から)

他のマスコミも報じているようですが、いったいなんなんでしょうかね、これは・・・。マスコミというのもほとほとおかしなもんです。


まず姫路列車区の対応そのものですが、常識的に考えて、事故現場とは列車区どころか支社も違うのですから、これは明らかに行き過ぎでしょう。バッシングを恐れず?あえて私の個人的感覚を書けば、社内(列車区内)の宴会だって自粛する必要はないと思います。安全運行のためには、懇親会で職場のチームワークを高めることも大切ですし、職員の「気晴らし」だって安全運行に必要なことはあったりまえだと思うのですが。
ただ、たしかに行き過ぎではありますが、人事管理という面では責められない部分が大きいように思います。あそこまで職員の行動をこれでもか、これでもかと叩かれれば、職員としてみれば「どうしろというのだ」「職員全員死んでおわびしろというのか」と云いたくもなるでしょう。そうなると、職場管理上はマネジメントが何らかのガイドラインを出すことは不可欠になることは想像に難くありません。そして、マスコミの大々的なバッシングが続いていることを考えれば、マネジメントが過剰防衛に走るのもまた当然すぎるほど当然です。毎日はたぶん「署名・なつ印」がお嫌いなのだろうと思いますが(そうでもないか)、「徹底されていない」という批判を避けるためにはこれも十分ありうる対応だろうと思います。
まずは職員の行動にバッシングの雨を降らせ、それに対して会社が対応策を講じたらこんどはそれを寄ってたかって叩きまくる。どう考えたって無節操だと私は思います。よくも恥ずかしくないもんだと思います。
まあ、考えようによっては、マスコミのみなさんが「これは行き過ぎですよ」とお墨付き?を与えてくれたわけですから、JR西日本職員のみなさんは、過度に萎縮せずに伸び伸び生活してほしいものだと思います。とはいえ、伸び伸びしたらしたで、マスコミは今度はそれを叩くのだろうなあ、きっと。
それにしても、ここまで悪意を受けるということは、JR西日本によほどマスコミに対して「失礼」があったのでしょうね。マスコミにはもともと「国民に成り代わって正義を行う」みたいな思い上がった特権意識があるみたいですから、扱いはよほど慎重にしないとひどい目にあわされるという、これは格好の教訓なのかもしれません。