名古屋市、職員の手当を一部廃止へ

かねてから、地方公務員の給料が地元の民間企業と比較して高すぎる、という問題が指摘されており、いわゆる「ラスパイレス指数」での比較では国を下回るようになっていますが、現実にはこの比較に含まれない手当や福利厚生などが存在することも指摘されています。最近では大阪市で職員にさまざまな恩恵が与えられていることが発覚して問題になっています。
きょうのNHKニュースによると、名古屋市はその「手当」のいくつかを廃止する方針とのことです。

 名古屋市は、職員の業務のうち、危険や困難を伴う業務として101の項目を認め、特殊勤務手当を支給しています。しかし、公務員の手当や福利厚生事業の見直しについて議論が高まっていることをふまえ、このうち11項目を廃止することにしました。具体的には、▽税金の徴収業務に従事する区役所の職員に月額で3600円から4800円支給していた手当を廃止するほか、▽市立病院で救急医療に従事する看護師と医療スタッフに1回の勤務あたり400円から500円支給していた手当を廃止するなどとしています。名古屋市は、これらの特殊勤務手当の廃止で、年間およそ2億円の削減を見込んでおり、現在、開会中の2月定例市議会で条例を改正し、今年10月から実施したいとしています。
 
NHKニュース〜地域「名古屋 市職員手当見直しへ」
http://www.nhk.or.jp/news/2005/03/03/d20050303000031.html

 
まず、101種類というのが凄い。国家公務員の手当は30種類(これでも民間感覚からすれば多いですが)だそうですから、いかに多いかということがわかります。こんなに多くてきちんと管理できるとはちょっと思えませんから、要するに給与を上げるための方便に使われていたのではないかと疑わざるを得ません。本給部分はラスパイレス指数でチェックされていて簡単には上げられないということで、手当を頻発することで実質的に賃上げしてきたということでしょうか。
また、「税金の徴収業務に従事する区役所の職員に月額で3600円から4800円支給」などというのは、まさに職務そのものであり、それに対して「手当」を支払うというのは一般的な「手当」の概念を逸脱するものです。まあ、これは賃金をどう決めるか、制度をどう設計するかで自由だといえばいえるかもしれませんが・・・。
数年前、某ビジネス誌に「自治体のゴミ収集に従事する職員が年収1,300万円」という記事が給与明細のコピー付きで掲載されていましたが、それもかなりの部分が「手当」だったように記憶しています。「手当」は多くの自治体でかなり便利に、恣意的に使われているのではないでしょうか。
経済財政諮問会議では公務員の給与の見直しに取り組むそうですが、このような「手当」や、大阪市で発覚したような共済会費の肩代わりのようなものはそもそも表に出てきにくく、データもおよそ集められないでしょうから、実行は困難を極めるでしょう(もちろん、労組も抵抗するに決まってますし)。地方公務員人気が高いのもむべなるかなです。
ちなみに、私はホームページの方では以前書きましたが、国家公務員の給与はそれほど問題視するにはあたらないと思っており(まあ、地方勤務者はやはり地元民間との比較で高すぎるとは思いますが)、むしろ賃金カーブの是正が課題だろうと思っています。国家公務員の問題は、金額的には必ずしも大きくないにしても、明らかにムダな人件費がビジブルに存在することが、国家公務員の給与そのものに対して「高すぎるのでは」という印象を与えているところにあるのかもしれません。