ビジネスガイド3月号

 (株)日本法令様から、『ビジネスガイド』3月号(通巻943号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

 今号の特集は「人材難&賃上げにどう対応するか」の一本で、現時点における最大の課題についてさまざまな側面から対応が解説されています。その切り口の多様さを見るにつけ現場の人事担当者やマネージャーのご苦労がしのばれます(他人事)。いや本当にがんばれ。
 八代尚宏先生の連載「経済学で考える人事労務社会保険」は今回は「労働基準法の抜本的な改正」で、昨年10月に発表された厚労省の「新しい時代の働き方に関する研究会報告」をふまえ、今後検討が予定されている労基法改正についてそのあるべき方向性を論じておられます。労基法というのはその性格上「抜本的」改正は難しいのではないかなあなととも思ったわけですが、結論としては最重要のポイントとして「働き方の多様性の容認」を指摘し、そのための「労働基準法の役割の縮小・労働契約法の役割の拡大」を主張しておられ、なるほどこれは抜本的かもしれないと思いました。いやこの研究会報告については私としてもいろいろと思うところがあり、書きたい書きたいと思いながら半年近く経過しているわけですが、ホントそろそろなんとかしないとな。来週には書きます、と自分にプレッシャーをかけてみる。
 大内伸哉先生のロングラン連載「キーワードからみた労働法」は記念すべき第200回を迎えられました。おめでとうございます。今回のテーマは「4大判例法理」で、労働法における判例法理の意義と重要性を述べたあと、秋北バス事件(就業規則の不利益変更)、日本食塩製造事件(解雇権濫用法理)、丸島水門製作所事件(ロックアウトの正当性)、国鉄札幌運転区事件(企業施設内の組合活動)の4大判例法理について個別に解説され、最後に日本型雇用システムの変化にともなって新たな判例法理が登場する可能性について言及しておられます。
 読んで、私自身が人事担当者になって労働法の勉強を始めたころのことを懐かしく思い出しているわけですが(ああ日本食塩製造事件ってユ・シ協定の事件だったっけ)、当時はまだそれなりにリアリティのあった丸島水門製作所事件や国鉄札幌運転区事件は、今の新任人事担当者にはまったく実感がわかないだろうななどと思うことしきり。なお使用者側の当事者の現在はというと、丸島水門製作所は丸島アクアシステムという今風の社名に変更、国鉄札幌運転区は周知のとおり民営化されてJR北海道札幌運転所になっているわけですが、秋北バス(80周年とのこと)・日本食塩製造(これらは社名も当時のまま)ともにすべて健在のようです。