上野善久『成熟産業の連続M&A戦略』

畏友、上野善久先生より、ご著書『成熟産業の連続M&A戦略:ロールアップ型産業再編の手引き』をご恵投いただきました。ありがとうございます。

ロールアップ戦略とは多数の同業企業を買収することでシェア拡大と企業価値向上をもくろむもので、投資ファンドなどが採用することが多いようです。著者は企業経営者としてこれが成熟産業においてこそ有意義と洞察し、中小企業の同業他社を次々と買収して産業再編を実現した数少ない実践者であり、その手法を体系化したのが本書ということになります。
 合併会社において人的な融和が重要であることは言を俟たず、本書でもその実践例が広く論じられています。被買収会社のオーナー経営者を(組織内の管理職などではなく)理事として処遇し、その人脈や経験の活用を図った手法などはまことに水際だったものであり、人事管理の面からも興味深い本です。