山極清子『女性活躍の推進』

経団連事業サービスの讃井暢子さんから、経団連出版の最新刊、山極清子『女性活躍の推進−資生堂が実践するダイバーシティ経営と働き方改革』を頂戴しました。いつもありがとうございます。

女性活躍の推進―資生堂が実践するダイバーシティ経営と働き方改革

女性活躍の推進―資生堂が実践するダイバーシティ経営と働き方改革

著者の山極氏は女性労働業界では知らぬ人のない有名人です。美容部員として資生堂に高卒入社され、店舗の現場から叩き上げて、男女共同参画推進リーダーとして同社を女性が働きやすい会社ナンバーワンに押し上げ、現在はそのノウハウを生かして系列のワークライフバランスコンサルティング会社の社長を務めておられます。そのかたわら大学に進学し、さらに大学院に進んで修士号、博士号を取得するという勤勉さであり、本書はその博士論文をもとに一般書として書かれたものということです。
内容的には副題にあるように資生堂の女性活躍推進、ダイバーシティ経営の展開、その理念と実践と成果とを詳細にまとめあげたもので、著者自身が関与した部分が中心ではありますがその前史やアフターフォローにも目配りされています(たぶん論文にはなかったのではないかと思いますが例の「資生堂ショック」についても簡単に触れられています)。
ということでダイバーシティ経営に関する資料としても手引きとしても非常に有益な本であり、各社のご担当者の方にはぜひ一読して自社とベンチマークされることをおすすめしたいと思います。自社の不足する部分がなにかが明瞭になることでしょう(しかしそれがわかったところでどうするのかというのが極めて難しいわけですがそこは各社それぞれに考えるしかない、と例によって他人事モード)。
ただまあこういう固くてマジメな本もいいですが、私としては著者の波乱万丈の一代記こそを読みたいと思うわけで(いや一代記が固くないとかマジメでないとかいうつもりではないので為念)、次作はぜひそのあたりをお願いしたいと思います。なんなら私がゴーストをやってもこらこらこら、まあそのうち日経新聞の「私の履歴書」に登場されることを期待しましょうか。