総合研究開発機構『働く人の自律を考える―会社人間という殻を打ち破れるか―』

総合研究開発機構(NIRA)の辻明子さんから(だと思う)、研究報告書『働く人の自律を考える―会社人間という殻を打ち破れるか―』をお送りいただきました。ありがとうございます。こちらから全文がお読みになれます。
http://www.nira.or.jp/outgoing/report/entry/n120515_639.html
アンケート調査結果の分析も興味深いのですが、第II部のインタビューが面白い。それぞれの得意分野で持論を自由に語っておられるのですが、私としては(主に前半部分に登場する)一部の先生方がやや無防備に「個人と組織の対等」を持ち出してくることに違和感というか危うさを感じました。いやいかにスキルを伸ばしたところで大半の労働者は勤務先や上司と対等になるということはあり得ないわけで、したがって仁田先生や石田先生が指摘しておられるように実効ある集団的関係を形成することが大切だろうと思います(方法論はたびたび書いているので省略します)。それはそれで簡単ではありませんが、あらゆる労働者が組織と対等になろうとするよりははるかに現実的でしょう。なお外部労働市場は外部労働市場になじむ働き方の人が増えてくれば(すでに増えていますし、今後はより良好なそれが増えるでしょう)、これからわが国でもそれなりに発達してくるのではないかと思います。大切なのは急いで無理に発達させようとしないことで、それをやるとあれこれゆがみが出てくると思います。