金曜日の日経新聞夕刊に「失業3カ月以上200万人超 09年、若者で深刻」という記事が掲載されておりました。
期間3カ月以上の失業者は08年秋の金融・経済危機で増加に転じた。求人の減少で求職活動が長期化。ハローワーク新宿(東京・新宿)の担当者は「希望条件を下げて数十社と面接しても就職できず、ハローワークに通い続ける失業者もいる」と話す。
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特に失業期間の長期化が目立つのは若年層。09年の期間3カ月以上の失業者を年齢層別にみると、25〜34歳は前年比36%増、15〜24歳は35%増と、増加幅が大きい。若年層にとっては希望通りの仕事を見つけにくく、職業経験を十分に積めないままで失業が長引いているとみられる。希望する仕事がないミスマッチによる失業者の割合は15〜24歳で45%、25〜34歳で36%に上る。
従来は派遣規制といった労働規制の相次ぐ緩和が雇用を生み出していた。だが鳩山由紀夫政権は規制強化へと労働政策を転換。これによって派遣労働者の採用を手控える企業が増え、失業者の受け皿が減少している。
(平成22年4月16日付日本経済新聞夕刊から)
「希望する仕事」はたしかに難しいでしょう。まあ「希望条件を下げ」れば求人は数十社あるということですから、それほど高い「希望」ではないのかもしれませんが…。実際、現に就労している人でもその仕事が「希望する仕事」かといえば必ずしもそうではない人も多いはずです。ただ、就労していればその間に労働条件や仕事内容も改善して「希望」に近づく可能性はあるわけなので(ダメなこともあるでしょうが)、その分はマシだとはいえるのかもしれません。規制緩和が雇用を増やしたことはどうやら間違いないようなので、規制強化で就労の機会を減らすことは「希望」に近づく道を減らすことでもあるのでしょう。もちろん、あまりに条件の悪い仕事だと、それなりの賃金を得ようとすると職業訓練や転職活動の時間すらなくなる、ということも起こるわけですから、一概には言えないわけですが、しかしその解決策は規制強化よりは「第二セーフティネット」といったものではないかと思いますが…。
それはそれとして、本日はお約束のこれです(笑)。
北欧のデンマークやスウェーデンでは労働者が職種別に技能を身に付けられる体制が整えられており、失業した場合でも企業で培った技能を他社で容易に生かせるために再就職がしやすい。これに対して日本では、労働者がある企業で身に付けた技能が再就職先では十分に認められないケースが多い。日本総合研究所の山田久主席研究員は「北欧型の労働市場を築けなければ、失業期間を短くするのは難しい」と指摘する。
(同)
「再就職がしやすい」については「再就職がしやすい(ただし、再就職先があれば)」というのが正確だろうと思いますが、それにしても「山田久主席研究員は「北欧型の労働市場を築けなければ、失業期間を短くするのは難しい」と指摘」されましたかそうですか(笑)。この方、著書『大失業』ではアメリカ型への転換を主張し、『ワークフェア』では欧州型の雇用政策に転じ、昨年のNIRAのレポートhttp://www.nira.or.jp/pdf/0901yamada.pdf、http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20090508では英国とドイツを賞賛しておられました。そうですか、米国、英国、ドイツときてついに北欧にまで到達されましたか。なんとはるばると旅をされたものですね。
いやもちろん、各国の政策や経験に学ぶことはとても大事なことですし、それぞれの場面で言っておられることはそれなりにその時々の社会情勢を反映してそれなりに参考になることを述べておられるわけですが、それにしてもね…。まあ、私がこの方をたびたび取り上げるのは、以前も書いたように『大失業』の印象が悪すぎる(http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20051231)からでして、こういうのはこの方に限ったことではないのでしょうが…。