日本郵便、数千人を雇止めへ

47ニュースから備忘的に。

 大幅赤字に陥っている日本郵政グループの郵便事業会社(日本郵便)が、収支改善策の一環で、郵便物の配達や仕分けなどを担う全国約16万人の非正規社員の一部に対し、3月末で切れる契約を更新せず雇い止めとする方針であることが12日、分かった。同社は雇い止めの人数は明らかにしていないが、数千人規模になる可能性がある。
 日本郵便郵政民営化見直しの一環で昨年12月、非正規社員の約6500人を正社員化したばかり。労働組合関係者は「3カ月もたたないうちに人事方針が一変し、現場が混乱して業務に支障が出る恐れがある」と反発している。
 日本郵便は現在、非正規社員を対象に希望退職を募集。近く支店の人員状況や勤務成績などを踏まえ、従業員との面談を開始。4月以降の勤務について日数や時間の短縮を求め、応じられない場合などは3月末で契約を打ち切る方針を伝える。
 日本郵便の2010年9月中間決算は、宅配便「ゆうパック」遅配問題などが響き、営業赤字が928億円に上った。1月末に総務省に提出した収支改善策で、支店などの人員配置を見直し人件費を削減する考えを示していた。
http://www.47news.jp/CN/201102/CN2011021201000256.html

内部がどうなっているのかは全くわからないわけですが、余剰人員の解消のために非正規社員を雇止めするというのは通常の人事管理の範囲内でしょう。それも約16万人のうちの数千人ですから、大きな数字には違いありませんが、しかしそれほど大幅な調整でもありません。
非正規の正規化を進める中での雇用調整についても、必ずしも「人事方針が一変」とまではいえないでしょう。日本郵便正規雇用はたしか10万人程度だったと思います(ウラを取っていないので自信なし)ので、正規の2倍以上も非正規がいるわけで、いかに業務量の変動があるとはいってもここまで非正規比率を上げる必要はなさそうです。であれば、段階的に正社員登用を進めて非正規比率を適正な水準に低下させることを考えるのは自然であって、それは短期的な雇用調整を雇止めで行うこととなんら矛盾しません。たしか非正規の正規化については10万人とかいう景気のいい数字も出ていたと思います(これも記憶なので自信なし)が、それでも正規20万人に対して非正規6万人くらいで、2割以上の弾力性があります。
日本郵便の非正規比率がここまで高まったのはおそらくは柔軟性確保よりは人件費抑制の必要によるものだったと推測され(これまた自信なし)、こうしたケースでは往々にして正社員比率が低すぎることにともなう非効率(コミュニケーションの悪化とか人材育成の停滞とか正社員の過重負荷とか)が発生すると言われています。まあ赤字なので人件費を増やすわけにはいかないでしょうが、それが解決できるのであれば正社員比率を高めることは十分に考えられる話だと思います。それを一定の経験を有する非正規からの転換で対応するのも合理的な話でしょう。
いっぽう、別の報道によれば日本郵便は2012年卒の新卒採用は行わないとのことで、正社員を増やす中で非正規からの転換6,500人、新卒正社員採用ゼロというのもバランスとしてどうなのかという感はありますが、まあ若い非正規を中心に転換することで労務構成は確保しつつ、「非正規の正規化」という政治的要請に最大限配慮したということでしょうか。日本郵便はおそらく新卒者にとっても最善の就職先のひとつでしょうし、就職戦線の現状を考えれば新卒採用への政治的要請も大きいと思うのですが…まあ、このあたり、政治的要請を行う人が「非正規の正規化を増やせば新卒の正規採用が減る」ということをわかっているのかどうかという問題なのかもしれません。いやもちろんわかっていると思いますが。