連合・連合総研「第16回労働組合費に関する調査報告」

70年代からアジ研が行ってきた調査を、アジ研解散後は連合総研が引き継いで実施しているものです。目立たないものですが、労働組合運動の基本となるものであることも間違いないわけで、地道に継続されていることに敬意を表したいと思います。今回の結果はこちら。
http://rengo-soken.or.jp/report_db/file/1246331795_a.pdf
前回調査とそれほど大きな変化があるわけでもありませんが、道半ばなれども非正規社員の組織化が進んでいることを示すデータもあります。もっとも、非正規に対しては組合費を減額しているケースが大半のようで、組織化の苦心とともに財政面での苦心もうかがわれます。
組合費というのは実はけっこう変更されていて、今回調査でも過去2年で組合費を変更した組合は約15%、うち「引き上げた」組合が5.3%、「引き下げた」組合が9.9%となっています。今後2年の見通しでも「引き上げを検討している」組合が7.5%、「引き下げを検討している」組合が8.4%あります。このところ引き下げのトレンドが続いていたのですが、今回調査では引き上げもかなり見られるようで、これも苦しい台所事情の反映でしょうか。
大きく変化しているのは罷業資金で、今回調査の平均日数は15.6日、前回調査比較可能な組織の平均日数は20.0日から16.2日と、約4日の減少となっています。罷業資金の積み立てを休止している組織が多いのは、とりあえず十分な額が積み立てられているとの判断なのか、組合員からの組合費引き下げの要求に応じるためなのか、あるいはその両方なのか、いろいろと推測されるところです。また、自由記入欄の回答をみると、財政が厳しいことから、これを取り崩して通常の活動資金にあてている例もありそうです。
ちなみに自由記入欄については、回収620に対して232件の回答と、かなりの高率になっています。その内容はというと、調査の性質上当然といえば当然ですが、財政の窮状を訴えるものが大半です。「(正規・非正規あわせた)従業員の減少」「非正規雇用の増加」「団塊世代の定年退職」といったものが財政にダメージを与えているということでしょうか。一部には「上部団体会費の負担」を訴える声もあります。
不況で組合員の収入が減る中で、相対的に組合費の負担が重いと感じられるようになっているのは、組合財政にとっては逆風でしょう。組合員の参加を促進し、活動の成果を実感させることで、負担感の軽減をはかる取り組みが大切なように思われます。まあ、余計なお世話ですし、外野が口を出すのは簡単でも、現実には非常に困難なことだということも承知しているつもりではありますが…。