ことば遊び その2

きのうに続いて「嫌われ成果主義の逆襲」シリーズ(笑)です。今日は野田稔先生の「成果主義を悪者にした5つの誤解」(後編)です。

 例えば、(私が社長を務める)ジェイフィールで今、非常に知的レベルの高い社員が集まったサービス業の会社を相手に、成果主義型の制度を見直すお手伝いをしています。
…現行の制度は、個々の社員ごとの貢献度を厳格に算定することになっている。結果として、無理やり貢献度に差をつけて、それを処遇に反映しているのが実情です。
 社員たちから見れば、いわれのない差をつけられていることになるので、当然ながら納得がいかない。
 彼らにヒアリングすると、次のような話が出てきました。個々の貢献度の評価が難しいといっても、同じランクの社員が10人いたら、最も優秀で業績に大きく貢献している人とそれに次ぐ2番目の人は、誰が見てもはっきりと分かると言うのです。この1番と2番を高く評価して厚遇しても、誰も文句は言わないと。
 また、逆に貢献度の最も低い10番目と次に低い9番目の人も明らかで、その人たちが低く評価されて処遇が良くなくても、恐らく本人たちも異を唱えないし、「それは仕方のないことだ」と周囲も思いますと。
 そこで、問題なのは3番から8番までの中間に位置する人たちだと言うのです。これらの人たちは、はっきり言ってどんぐりの背比べで、能力も貢献度もさほど変わらない。にもかかわらず、差をつけようとするから腹が立つと言うんですね。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20090512/194224/

おーい、高橋伸夫先生の『虚妄の成果主義』読みましたか?成果主義を論じるなら必読ですよー。

虚妄の成果主義

虚妄の成果主義

これはもう、高橋先生の成果主義批判そのまま、口汚くののしれば(笑)「盗作すれすれ」って奴ですよ。で、高橋先生も、野田先生と同じように「最も優秀で業績に大きく貢献している人とそれに次ぐ2番目の人は、誰が見てもはっきりと分かると言うのです。この1番と2番を高く評価して厚遇しても、誰も文句は言わないと。また、逆に貢献度の最も低い10番目と次に低い9番目の人も明らかで、その人たちが低く評価されて処遇が良くなくても、恐らく本人たちも異を唱えないし、「それは仕方のないことだ」と周囲も思います」という趣旨を述べられ、だからそういう人事管理をすればいいと言っておられて、高橋先生はそれを「日本型年功制」と呼んでおられます。高橋先生が「日本的年功制」と呼ぶものを、野田先生は「成果主義」と呼ぶ。まあ、ネーミングの問題ですからどちらもご自由ですが、高橋先生のネーミングは実務実感に合うのに対し、野田先生のネーミングはそうではない。それは貴様らの実務実感なるものが神聖なる成果主義の本質を理解していないのだ、と言い張られるのかもしれませんが、言われた側としては「ことば遊び」と受け取るしかありません。
その次の自動車メーカーの事例については論評しませんが(笑)、とりあえずこの事例を持ち出すのなら、これくらいは読んでおいてほしかったかなと。
ホワイトカラーの仕事と成果 人事管理のフロンティア

ホワイトカラーの仕事と成果 人事管理のフロンティア

リクルートさんについてはよく知りませんが、一般論として成果主義がなじむ業種・業態であれば成果主義をおおいに活用すればよろしいわけで、それには私も異論はありません。自動車メーカーはともかく、自動車ディーラーは古くから成果主義を採用していますからね。