朝の缶コーヒー

政策ネタが続いていますので、たまには毛色の違うものを。
缶コーヒー「WONDA」を展開するアサヒ飲料が、「現代ビジネスマン朝の生活実態調査」という調査を実施しています。今年が2回めで、調査方法はインターネット調査、調査対象は札幌、仙台、東京23区、名古屋、大阪、広島、福岡で働く20代、30代の男性ビジネスマン計1,200人(内訳は東京23区で600人、札幌・仙台・名古屋・大阪・広島・福岡が各100人)、調査期間は2008年7月31日から8月7日とのことです。朝は缶コーヒーを飲みましょう、という販促キャンペーンの一環のようですが、なかな興味深い内容を含んでいます。ここでは朝の時間に対する意識を調べた結果をご紹介したいと思います。ネタなんですから、統計的に無意味とかいうツッコミはなしね。
プレスリリースはこちらhttp://www.asahiinryo.co.jp/newsrelease/topics/080908.pdf
報告書はこちらhttp://www.asahiinryo.co.jp/newsrelease/topics/080908_02.pdf
今日取り上げた内容の記事はこちらhttp://www.asahiinryo.co.jp/wonda/asakachi/report/vol02/index.html
ということで、まずは「朝の時間を活用したいか」という設問からみていきましょう。『あなたは、仕事のある日の始業時間前の朝の時間を、活用したいと思いますか。※活用は仕事に限りません。英語や資格の勉強、運動、趣味なども含めてお考えください』に対して、回答はこうでした。

活用したいと思う 29.9%
どちらかというと活用したいと思う 46.8%
どちらかというと活用する必要性を感じない 16.8%
活用する必要性を感じない 6.6%

屁理屈をいえば、睡眠だって休養(目覚めてぼんやりしているとか)だって活用だ、ともいえるでしょうが、まあここは「早起きをして」ということでしょう。ここで、ネガティブな選択肢が「活用したくない」ではなく「活用する必要性を感じない」になっているのが面白いところで、「活用したくないわけではないが、必要性がないので」という人が約4分の1出てきたということのようです。活用したいか、と訊ねられれば誰だって活用したいと答えるだろう、ということなのでしょう。ダイレクトに「活用したくない」という選択肢にして、とにかく寝ていたい、という人がどのくらいいるのかも見てみたいような気がします。
次は、それでは実際に「朝の時間を活用できているか」という設問です。『あなたは、仕事のある日の始業時間前の朝の時間を、活用できていると思いますか。※活用は仕事に限りません。英語や資格の勉強、運動、趣味なども含めてお考えください』に対して、回答はこうなっています。

とても活用できていると思う 4.7%
まあ活用できていると思う 31.7%
あまり活用できていないと思う 41.5%
まったく活用できていないと思う 20.2%

なるほど、なかなか思うようにはいっていないようですが、これらのクロス集計もされていて、

活用したいし活用できている 33.3%
活用したいが活用できていない 43.3%
必要性を感じないが活用できている 3.0%
必要性を感じないし活用できていない 20.3%

となっています。「活用したいし活用できている」人もかなりいますが、やはり「活用したいが活用できていない」が最多になりました。それに較べれば、当然ながら必要性を感じない人は活用できていないという意志どおりの結果になりましたが、「必要性を感じないが活用できている」という人が3%いるのが面白いところです。
さて、「仕事のある日の始業時間前の朝の時間」には当然「通勤(出勤)」がつきもので、通勤時間の長さとこれら意識との関係が知りたいところ(なのは私だけ?)です。「通勤時間が長い人ほど活用できていないのではないか」とか「活用したいと考えているのではないか」とか、推測されるわけですが、報告書には通勤時間とのクロス集計も掲載されています。
で、意外にも?通勤時間の長さと「活用したい/必要を感じない」「活用できている/できていない」、さらにはこれらのクロス4項目との結果のいずれをみても、通勤時間の長さとの間に目立った関係は見られません、というかほとんど同じです。まあ、通勤時間はこの調査の対象となっている「朝の時間」には含まれていないようなので、そうなるとあまり関係ないといえば関係ないのかもしれません。
ちなみに通勤時間に何をしているかというと、「メール」30.8%、「携帯プレーヤーで音楽鑑賞」25.7%、「文庫本を読む」16.9%、「携帯ニュースサイト他、サイト閲覧」14.7%「雑誌を読む」10.5%となっていて、私が通勤電車の定番だと思っていた「新聞を読む」は9.9%でした。自分がやっているからといって他人がやっているとは限らない、これは当然ですねえ。ちなみに「何もしない」「ぼんやりしている」といった選択肢はありませんが、そういう人も多いでしょう。なお通勤手段は、「主要なものひとつ」の選択で「電車」が56.3%、「自動車」20.1%、「自転車」12.0%で、徒歩は5.3%と少なく、バスはさらに少なくなっています。電車が意外に少ないような気がしますが、東京23区では8割超、三大都市圏では多く地方都市では少ないということのようです。通勤時間に「ラジオを聞く」が8.8%、「煙草を吸う」が8.5%いるのは、これは自動車通勤の人たちが主なのでしょう。なお通勤時間の平均は42.6分ですが、70分超が12.2%いるのに対し20分未満が19.0%、うち10分未満が6.9%とかなりばらつきが大きくなっています。労働時間の短縮もワークライフバランスも大切ですが、通勤時間というものの存在をしっかりと認識した上での議論が必要なはずで、地方都市であればまだまだ職住近接が可能という現状をみれば、ワークライフバランスの重要な取り組みとして東京一極ないし大都市圏集中を緩和して地方分散をはかることはかなり重要なのではないでしょうか。
脱線しましたが、「朝の時間帯を金額評価する」という面白い設問もあります。『「早起きは三文の得」ということわざがあります。あなたにとって、朝1時間の早起きは、いくらくらいの価値があると思いますか。●●円と具体的にお答えください。』という設問です。
さて回答はというと…

0円 9.2%
300〜1000円未満 27.0%
1000〜3000円未満 36.6%
3000〜10000円未満 16.6%
10000円以上 10.6%

とのことで、平均は4,353円とのことです。ちなみに既婚者は平均金額6,108円で、未婚者(親と同居・非同居にかかわらず)の2,900円前後と比較して早起きの価値を非常に高く考えている結果になったそうです。
また、朝と夜を比較した設問『仕事をする1時間として、あなたは、「始業前の1時間」は、「残業の1時間」と比べてどのくらいの価値があると思いますか。「残業の1時間」を100としてお答えください。」では、

70未満 9.1%
70〜100未満 14.3%
100 27.2%
100〜200未満 18.2%
200以上 30.9%

という結果が出ています。「朝の時間を活用できている」「活用したい」人ほど始業前を高く評価する、という結果になっているそうです。
回答者は主要都市在勤の20代・30代男性ビジネスマンで、平均年齢は30.9歳、職種をみるとまず9割方はホワイトカラーとみてよさそうです。年収は調査されていないようですが、まあ所定内労働の時間単価は2,000円くらいでしょうか(賞与・残業手当等含めてだいたい年収500万円くらい?)。とすると、割増率25%で計算して残業は1時間2,500円。朝の1時間の平均約4,400円は、なかなか高く評価されていると申せましょう。もっとも、ボリュームゾーンは1,000円〜3,000円で、約4,400円という平均値は1割以上もいる「10,000円超」にかなり引っ張られていると思われます。そう見れば、大方は「その時間で早出残業すれば稼げるレベル」に近い評価をしているのかもしれません。「10,000円超」というのは、「いくら貰っても早起きはいやだ」という朝寝坊による過大評価もかなり入っていそうです。朝と夜の比較でも、やはり「100」がその前後に較べれば多くなっています。「200以上」というのは、朝の活用を重視する人の評価に加えて、朝の活用にネガティブな人の評価(早出よりは残業のほうがずっとマシ)の影響もあるのではないでしょうか。
さて、この調査の眼目である「缶コーヒー」についていえば、始業前に飲み物を飲む人は約3割と意外に少ないのですが、飲む人の中では複数回答ながら約3分の2がコーヒーをあげました。また、朝の仕事の効率を上げるための飲み物として複数回答ながら約3分の2が「コーヒー」をあげ、うち3分の4は「缶コーヒー」を含む回答をしたのだとか。残念ながら、それで実際にめざましく効率が上がっている、とまではいかないようですが…。ちなみに、かくいう私もほぼ毎日始業前に缶コーヒーを飲んでおります…申し訳ありませんが「ワンダ」ではありませんが(笑)、職場の自販機に入っているのが別メーカーのものなので、すみません(笑)。おいしいから、好きだから飲むわけですが、それで効率が上がっているのかと問い詰められると…さて、どんなもんなんでしょうかね?と言いつつ、また明朝も飲むんだろうな、缶コーヒー。