パートの正社員化

いっぽう、日経新聞は最近、月曜日に労働関係の記事を集めた「働く」という特集ページを設定しています。こちらはなかなか興味深い事例などもふくまれていて参考になります。と、ほめておいてなんなんですが、きのうの記事から揚げ足取りをひとつ。ユニクロがパートタイマーを正社員化し、店長に登用して貴重な戦力としているという、これはこれで好事例なのですが…。

 山田さんは空前のフリースブームでユニクロが社会現象になった〇〇年二月、パート扱いの「準社員」として浦和近郊の店舗に採用された。
 半年後に契約社員になり、〇二年八月には店長資格試験にも合格した。だが店長にはならなかった。店長になれるのは正社員だけ。正社員には転勤がある。共働きの山田さんには無理だった。
 風向きが変わったのは〇六年九月。景気回復を受け流通業界でパートなどの人員争奪戦が始まり、社内で「パート社員を正社員にする方法はないか」との声が上がり始めた。
 当時、ユニクロ柳井正氏が社長に復帰。「二〇一〇年の売上高一兆円」を掲げ、大型店を積極的に出店する戦略に打って出た。大型店を成功させるには、安さだけでなく上質なサービスも必要だ。ユニクロはパート社員の大量正社員化に踏み切った。
 「やった!ラッキー!」。〇七年二月、地域限定正社員制度を導入する方針を聞いた山田さんは、視界がぱっと開ける思いがした。
 正社員になると有給休暇や育児休暇が使え、通勤手当も支給される。親せきに「正社員になったんだって、すごいね」と言われ、初めて正社員の実感がわいた。
(平成20年6月23日付日本経済新聞朝刊から)

「正社員になると有給休暇や育児休暇が使え」
・・・・・・
「正社員になると有給休暇や育児休暇が使え」
ん????
「正社員になると有給休暇や育児休暇が使え」


あの、パートタイマーでも有給休暇や育児休暇は使えるんですけど。
有給休暇は、短時間労働者であっても一定の条件を満たせば労働基準法で付与が義務付けられています。育児休業についても、パートタイマーであっても、同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であり、かつ養育する子が1歳に達する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれるのであれば、原則として労働者の求めがあれば育児休業を取得させなければなりません(子が1歳に達する日から1年を経過するまでの間に労働契約期間が満了し、かつ、その契約の更新がないことが明らかである場合は除く)。
これは人事担当者にとってはかなり基礎的な知識ですが、「山田さん」はたまたまそれを知らなかった、ということなのでしょうか。それがユニクロの実態なのさ、というのは少し意地悪すぎる感じもしますが…。まあ、無知な記者が適当に書き飛ばしてしまっただけ、というのが案外真相かもしれません。