共通の利害

もう一日労働サミットで引っ張りますが、最後の副議題がいよいよ注目の環境と労働のかかわりです。

 グローバル社会全体を溌溂とした持続可能なものとするために、環境問題に起因する雇用・社会の課題への対応に貢献する意思があることを宣言する。持続可能な社会に必要な3つの柱、すなわち経済的発展、社会的発展、環境保護の3要素が柱になるとの認識のもと、グローバル社会が直面する諸課題に取り組むことを確認。
 環境問題に関係した労働市場・雇用政策については、気候変動による労働移動に対応すること、環境に優しい技術革新に対応できる能力開発を進めることについて合意するとともに、各職場において労使が協力して環境に優しい働き方を促進するとの「新潟宣言」を行った。
 ILOの「グリーン・ジョブ・イニシアティブ」に注目するとともに、ディーセント・ワークの推進やグローバル化の社会的側面に取り組むドレスデンG8労働大臣会合及びハイリゲンダムサミットの成果を確認。

新潟宣言(全文)
政府、使用者、労働者は成長、雇用、生産性及び環境問題の相互のバランスをとるために協力する必要がある。職場レベルの社会対話、社会協力はこの目的に向けた重要な寄与となる。この活動を促進することが、我々の「新潟宣言」である。

…というものです。「成長・雇用・生産性」と「環境」のバランスをとる、というのは先進国としてはきわめて常識的な考え方なのだろうと思いますが、それではこれがグローバルに通用する常識なのかどうかというと、「環境より成長や雇用の方がはるかに大切だ」と考える国々との利害の対立は大きいものがありそうです。ときに、「気候変動による労働移動に対応する」というのが意味不明ですが、原文を読むと気候変動に限らず環境問題全般の影響から発生する労働移動を支援する、ということのようです。
全体を通じての印象としては、雇用・労働相会合ということで、すこし社民よりかなあという感じがしますが、これは私自身の立ち位置のせいかもしれません。G8ということで、米英と大陸欧州の双方が不満を抱えつつ間をとって妥協すればこんなものなのでしょうか。