池田信夫先生

さて、hamachan先生ひどいめにあうの巻の発端となった池田信夫先生のブログですが、今日の「偽装請負を生み出しているのはだれか」というエントリでは、派遣労働についてこんな記述があります。

派遣労働者は1年以上雇用すると正社員にしなければならないなどの規制があるので、経営者はそういう制限のない請負契約を使う。
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/16af29654ee641ba6ae3f15bdc23338c

派遣労働者への直接雇用の申込み義務」のことをおっしゃっておられるのだと思いますが、これは法律に沿って書けば「派遣受入期間の制限がある業務の場合は、派遣受入期間の制限への抵触日以降も派遣労働者を使用しようとする場合は、派遣先は、抵触日の前日までに、派遣労働者に対して雇用契約の申込みをしなければならず、派遣受入期間の制限がない業務の場合は、同一の業務に同一の派遣労働者を3年を超えて受け入れており、その業務に新たに労働者を雇入れようとするときは、派遣先は、その派遣労働者に対して雇用契約の申込みをしなければならない」というものです。
まあ、「物の製造」の業務については派遣受入期間の制限は1年間ですので、「1年以上」というのはこの文脈であれば必ずしも間違いではないでしょう(すべての業務について1年以上であるかのように読めてしまうのは問題だとは思いますが)。ただ、「雇用すると」については派遣社員を雇用しているのは派遣元である派遣会社であり、派遣先ではありませんので、ここは「受け入れると」などと書かなければなりません。さらに、「直接雇用の申込み義務」というのは、「直接雇用」であれば正社員であることを要せず、また、「申込み」をすれば足りるのであって「正社員にする」=「雇用する」ことまでを義務としているわけではありません。
まあ、派遣の制約を嫌って請負を利用する経営者が多いことはたしかでしょうから、この記述は論旨には直接の影響はありませんので、スルーしておけばいいのでしょうが、それにしてもこれだけの短い文の中にこれだけたくさん問題があるのでは、文章全体の信用にもかかわってきますよね。