「「丸山眞男」をひっぱたきたい」についての覚え書き」についての覚え書き

一連のhamachan先生ひどいめにあうの巻をみていて(激しく今更だろうと思うのですが)「はてなブックマーク」というものを知りました。なかなか、面白い機能だと思いますが、このブログのエントリにもたくさんブックマークをいただいており、ありがとうございます。4月11日のエントリ以降、コメントを凍結したままになっているので(以前のようにコメントのやりとりをしたいという気持ちはあるのですが、なにしろ時間がとれないのです)、ブックマークを使われた人もいるのでしょう。
思わず古いものまで読みふけってしまいましたが、やはりホワイトカラー・エグゼンプションとか、解雇規制とか世間で話題になったテーマはブックマークも多いようです。かなり以前ですが、駒大苫小牧事件のエントリにもたくさん頂戴していたのはちょっと意外でした。
そこで本題ですが、中でもブックマークが多かったのは9月27日の「「「丸山眞男」をひっぱたきたい」についての覚え書き 」でした。数の多さ(とはいっても、人気のあるブログでは3桁が普通のようですが、私のブログとしては)もさることながら、ずいぶん誤解した読まれ方をしていることに驚きを禁じ得ませんでした。
たしかに、私のエントリは赤木氏のエッセイ(?)の一部について批判的に述べてはいますが、特段、赤木氏の所論を全面否定しているわけではありません。私があのエントリで述べているのは「ちょっと事実認識の違う点がある」(ちょっと、ですよ)というだけのこと(だから「覚え書き」という穏健な用語にしているわけで)で、主要なポイントは次の2点です。

  1. 現に中途採用、フリーターの正社員採用が増加している現実があるので、あたかもそれが世間で皆無に近いかのような「赤木氏の認識はいささか悲観的に過ぎ」るのではないか。
  2. 赤木氏は「高齢者の再雇用は、我々のような仕事にありつけない若者がまたもや就業機会から排除されることを意味する。しかし、それを問題視する声はまったく聞かれない」と述べているが、現実には「問題視する声」は一定数存在する。
  • 余談ながら、私自身も「問題視する声」をあげたことがあります。たとえば、2003年8月4日に書いたエッセイとか、このブログの2005年9月16日のエントリとか。まあ、私が声をあげたところでどうなるというものではありませんが(笑)。ちなみに、前者のエッセイには「「若年層の厳しい雇用情勢を改善するために、中高年の首切りを進めるべきである」といった極論すら、大まじめで取り沙汰される現状なのです」なんていう記述もあります。

これだけのことで、一部について批判的にコメントしただけであって、全体の論旨をすべて否定しているわけではありません(もちろん、コメントした以外の部分をすべて肯定しているわけでもありませんが)。実際、私は「右傾化」とか「戦争」とかに関する部分(むしろこちらが主要な論点でしょうが)はよくわかりませんし、あまり関心もありませんので、特段コメントするつもりもありません。

労働市場マターについていえば、「すべてのフリーターが正社員になったわけではなく、大半がなったというわけでもない」ことはよく承知しておりますし、多くのフリーターが依然として正社員就職が困難な状況におかれていることも承知しております。フリーターが正社員就職できないのは怠惰だからだとか努力不足だからだとかと言うつもりもありません。エントリを普通に読んでいただければ、そんなことは一言も書いてないとご理解いただけると思うのですが。

  • 字では書いてなくても行間に書いてあると感じると言われるのであればどうしようもありません。まあ、私の文章力不足を率直に自己批判しますか。

もっとも、その対策として(「戦争」はともかく)池田信夫氏はじめ一部の規制緩和屋さんたちがいうような「正社員の非正社員化」がいいとは私は考えていません。そこは私の意見はhamachan先生に近い(同じではありません)と思いますが、だから「フリーターが見えていない」と決め付けられても困るわけで。
ついでですから書きますと、私はこのブログなどで一貫して「若年雇用問題は『職業意識』だの『人間力』だの『社会人基礎力』だのいった供給サイドの問題ではなく、大半は求人不足という需要サイドの問題」だと主張してきましたし、好況期に就職活動した世代に較べると不況期に活動した世代は不利な就職が多く生涯賃金も低い傾向があるといういわゆる「世代効果」についてもかねてから紹介し、今回の不況期にも同様のことがおきそうだとも述べてきています。

  • まあ、これはこれで「ゲンダのお先棒を担いだ」とか(事実そのとおりですが)言われて叩かれもしましたが。これまた、私がなにか言ったところでどうなるというものでもないのですがね。

ということで、私としては「「丸山眞男」をひっぱたきたい」についての覚え書き」にたくさんのブックマークをいただいたのはうれしかったのですが、かなり誤解を受けているらしく思われることは残念に感じています。