好況の恩恵

今朝の日経から。文科省が発表した2007年度の学校基本調査速報に関する報道です。

 文部科学省は九日、二〇〇七年度の学校基本調査速報を発表した。小中学校では不登校の子どもが前年度を三・七%上回る約十二万七千人となり、五年ぶりの増加に転じた。一方で景気回復を背景に大学進学熱は高まり、えり好みしなければ全員が入学できる「全入時代」にはならなかった。新卒の雇用環境の好転で、働かず教育も受けない「ニート」も大幅に減った。

 〇七年度は大学の志願者数と入学者数が一致する「全入」状態になると予想されていたが、志願者が想定より多く、全入時代の到来は来年以降に持ち越しとなった。ただ受験生が集まるのは一部の有名校に限られ、定員割れが続出する大学との二極化は一段と進んでおり、大学経営は厳しさを増している。

 河合塾教育情報部は「これまでは不景気で資格取得に関心が集まり、専門学校に進む人が増えるとの見方が多かったが、景気回復で『やっぱり大学がいい』という雰囲気になっている」とみる。大学・短大への現役進学率は五一・二%で初めて五割台に乗った。浪人を含めた進学率も五三・七%と一・四ポイント上昇し、過去最高を更新した。
 ただ一学年の定員が百―二百人程度の小規模校や地方などを中心に四割の私大が定員割れするなど、事実上の全入になっている大学も多く、学生の獲得合戦は今後も過熱しそうだ。
 大卒後の進路では、卒業者五十五万九千人のうち就職したのは三十七万八千人で二万二千人増。アルバイトなど「フリーター」は一万三千人で三千人減、ニートは六万九千人で一万三千人減った。好況で企業が採用を増やしていることから就職環境は改善している。
(平成19年8月10日付日本経済新聞朝刊から)

好況でフリーターやニートが減少しているというのはまことに好ましい状況といえましょう。
それはそれとして、一部の人気校に受験生が集まるいっぽう、4割の私大が定員割れしているという状況は、今年の受験生が卒業する4年後には、経済界にも出現しているかもしれません。若年人口が減少する中で、都市部の優良な大企業に新卒就職の応募が集中し、地方の中小企業は必要数を満足できないということになる可能性はかなりありそうです。というか、すでにそういう状況になっているという実感を持つ企業も多いかもしれません。いっぽうで、これも景気次第という面もありますが。