今年の10冊「隠し球」版その2

ということで昨日の続き、残り5冊です。

小池和男・洞口治夫編『経営学のフィールド・リサーチ―「現場の達人」の実践的調査手法』

経営学のフィールド・リサーチ―「現場の達人」の実践的調査手法

経営学のフィールド・リサーチ―「現場の達人」の実践的調査手法

実地調査で経営学研究に取り組む有力研究者十人が、その研究手法や経験、その背後にある思想を語るというまことに興味深い本。なにが面白いんだという人もいるかもしれませんが、私にとっては耳学問としても読み物としても非常に面白い本でした。それにしても調査屋さんたちの熱意と執念、まさに脱帽です。「今年の一冊」を選ぶとしたら、有力候補の二冊のうちの一冊です。

志村幸雄『誰が本当の発明者か』

誰が本当の発明者か―発明をめぐる栄光と挫折の物語 (ブルーバックス)

誰が本当の発明者か―発明をめぐる栄光と挫折の物語 (ブルーバックス)

ひまつぶし本の中からも一冊。発明をめぐるさまざまな喜怒哀楽、運不運といった人間ドラマが楽しく紹介されていて面白く読めました。あたりまえのことなのでしょうが、やはり画期的な発明を一個人が独力で成し遂げるということはあり得ないことになってきているのでしょう。

R.ドーア『誰のための会社にするか』

誰のための会社にするか (岩波新書)

誰のための会社にするか (岩波新書)

社民主義的な色彩が強く、一部にはなかなかなじめない部分もありますが、企業統治に関する考え方についてはまったく同感です。日本に対し、労働に対し深い共感を持つこの老碩学の真摯な提言に、多くの人に虚心に耳を傾けてほしいものだと思います。

豊田泰光豊田泰光のチェンジアップ人生論』

豊田泰光のチェンジアップ人生論

豊田泰光のチェンジアップ人生論

今年から私は仕事でスポーツに深くかかわるようになりました。そのため、まだまだ数は少ないのですがスポーツ関連書にも親しむようになり、その中でいちばん印象に残った本です。辛口な中にも競技や選手に対する愛情が感じられ、プロスポーツという特殊な世界の話ではありますが、いろいろ考える材料やヒントの詰まった本だと思います。

坂東眞理子『女性の品格』

女性の品格 (PHP新書)

女性の品格 (PHP新書)

キャリア官僚として男女共同参画の責任者や副知事などを歴任した著者が説く「女性はいかに生きるか」。単純なジェンダーフリージェンダーイコールを述べるのではなく、日本社会の現実を踏まえた考え方を示しています。お説教くさくなってしまうのはこの本の常でもあり、この内容を女性がどう読むのかは私にはわかりません(読む人によっても違うでしょう)。いっぽうで、男性が読んでみると、世の中で活躍している女性が男性をどう見ているのか、男性である自分の言動が女性からはどのように見えているのか、ということが一目瞭然にわかる本で、読んで反省しきりでした。なんとも思わない男性も多いのかもしれませんが、それでも男性こそ一読を、という本です。