論功行賞は悪いのか

安倍新政権の組閣人事について、一部からあれこれ批判が出ているようです。

 安倍流人事に対し、森喜朗元首相は「友人や付き合っていた人をどんどん登用した」と皮肉を交えつつも、「挙党態勢はきちんとできている」と合格点を与えた。参院枠の扱いで首相と神経戦を続けた青木幹雄参院議員会長も、推薦した溝手顕正若林正俊両氏がそのまま入閣し「参院の立場をきっちり理解してもらった」と周辺に語った。
 だが、今回冷遇された派閥からは早速反発の声が上がっている。入閣ゼロだった谷垣派谷垣禎一会長は、「総裁選に関しての論功行賞という点で極めて明瞭(めいりょう)なものがある。挙党態勢をつくっていく点で大きな問題を残した」と厳しく批判。甘利明氏のみの入閣となった山崎派山崎拓会長も、人事への受け止めを記者団に問われ、ぶぜんとした表情で「感想なし」。
(06/09/26 21:18 X699  JIJI PRESS から)

まあ、「挙党体制」かどうかについては、人によって評価が分かれるのは当然でしょう。人事である以上は冷遇される人が出るのも避けがたく、冷遇された人がその人事を評価しないというのもまた致し方ないところだろうと思います。
「友人や付き合っていた人をどんどん登用した」というのは、別に悪いことでもなんでもなく、むしろ当たり前のことではないでしょうか。もちろん、情実ゆえに能力や適性の不足した人を登用するのはまずい(人気ゆえに能力・適性に疑問のある外相を任命して失敗した人もいますし)でしょうが、ポジションが高くなればなるほど、能力や適性に問題がなければ、側近にはつきあいが長くて気心の知れた人を登用したいと考えるのは自然な心理というものではないでしょうか。別に派閥に限らず、地縁とか門閥早大雄弁会松下政経塾のような一種の学閥など、これまでもずっと行われてきたことです。「論功行賞」も同じことで、自分のために働いてくれた人とそうでない人とを較べれば、前者を登用したいと考えるのはごく普通というものでしょう。
たしかに、これらも行き過ぎれば組織内の反発が強くなり、組織運営がうまくいかなくなる可能性はあるわけで、それが「挙党体制」云々の批判につながっているわけでしょうが、いっぽうで参議院については人数も人選も参議院執行部の意向に沿ったわけで、それが首相なりのバランス感覚だったということでしょう。まあ、この内閣がきちんと仕事をして結果を出せるかどうか、それで判断すべきことではないでしょうか。