- 作者: 文春新書編集部
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/08
- メディア: 新書
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小谷野敦「下等遊民のイデアルテュプス」
玄田批判批判(しかし、玄田にも批判的)。「大嘘」座談会の直後にこれを持ってきているのはいかにも意図ありげですよねぇ(笑)。老人の偉い人(企業経営者とかに多い)は「ニートは怠け者でけしからん」的なことを相変わらず言ってるけど、小谷野氏くらいの年配のインテリがそれに近いことを言うのにはけっこう勇気がいるのかも。
竹中平蔵ほか「格差批判に答える」
竹中氏の発言。
日本の労働市場の問題は、むしろバブルが崩壊して、経済が一気に悪くなったときに、労働者の生活水準を下げなかったことにあります。「失われた十年」の間、労働者の給料はほとんど下がっていないんです。こんな国はほかにはないと思います。ですから生産性に比べて賃金が高くなってしまった。
(158頁)
まあ、インタビュー記事だから仕方ないことですが、やや説明が不十分というか、誤解を招きそうな発言です。実際には失業率が上がっていますし、非典型雇用比率が上昇したことで一人当たり賃金はやはり下がっています。ただ、たしかに正社員の賃金は下にリジッドだったので、マーケットプライスが低下した非正社員との格差は結果として拡大していたのではないでしょうか。そして、最近では需給が逼迫して、非正社員の賃金は上がりつつあります。
問題は不況なのに賃金(と生活水準はこれまた違うと思うのですが)を下げなかったことではなく、デフレなのに名目賃金を下げられなかったことではないでしょうか。