一言あってしかるべき

連日の村上ファンドネタですが、オリックス宮内義彦会長が村上世彰氏の大パトロンであったことは広く知られています。まあ、利回りのいいファンドに投資することは経済人としては当然と言われればそのとおりなので、その部分はあれこれ言われる筋合いはないということかもしれませんが、少なくとも村上氏が会社を設立するときに宮内氏は45%も出資しているわけで、これについては一言あってしかるべきではないでしょうか。しかし、宮内氏がこれについてまとまったコメントを出した形跡はありません。


いろいろと探してみると、とりあえず本当に「一言」くらいはあったようです。

村上ファンド村上世彰容疑者(46)の逮捕について、オリックス宮内義彦会長が5日、「法令違反があったならば遺憾だ」とのコメントを発表した。オリックスは、百数十億円とされる村上ファンドへの運用委託資金の扱いついて「今後の推移を見守りたい」(広報グループ)としている。
 宮内会長は、村上代表が通産官僚だったころからの知人で、村上代表が退官して99年にファンドを立ち上げた際に、オリックスが出資するなど投資活動を支援してきた。オリックス村上ファンドの中心的な投資会社「MACアセットマネジメント」の資本金の45%を出資し、社外役員2人を派遣していたが、5月に資本提携を解消し役員も引き揚げた。
(平成18年6月6日付スポーツニッポンから)

「法令違反があったならば遺憾だ」って、ご本人が認めちゃってるんですから仮定の話をする状況ではないでしょう。経団連会長だって、ライブドアを入会させたことについては「ミスだったというか、早まった」、「自分なりに有価証券報告書や営業報告書を読んだが、私の会計知識で偽計などの不正を見破ることはできなかった」、「ライブドアのようなケースは少数派。新規事業の多くがダメだとか、ベンチャーはみんな金もうけなどとは言うつもりはない」などと発言(言い訳?)していたわけで、宮内氏にももうすこしなにか語ってほしいと思います。そうでないと、言うべきことまで言えなくなってしまいます。

  • 実際には、経営陣が法令違反を犯して企業価値が低下すれば出資者は損失を被るわけで、宮内氏は村上氏にだまされた被害者であるともいえるでしょう。まあ、そうとはなかなか云いにくいでしょうが……。

 村上ファンド代表の村上世彰容疑者が逮捕された余波で、政府の規制改革・民間開放推進会議が逆風にさらされている。議長を務めるオリックス宮内義彦会長が村上ファンドの設立に協力した経緯があるからだ。
 宮内氏は5日昼の記者会見で「規制改革会議の信頼性が失われるのではないか」と問われ、「私自身、コメントする立場ではないので控えたい」と沈黙した。安倍晋三官房長官も「ファンドの個別の投資についてはコメントを控えたい」と歯切れが悪かった。
 推進会議は7月までにNHK改革や教育委員会の設置規制の廃止などについて答申をまとめる予定だが、与野党から「宮内氏がまとめる答申の信頼性が揺らぐのは間違いない」(自民党三役経験者)と厳しい声も出ている。市場化テスト(官民競争入札)などを推進する宮内氏に対し、与党内には「官の仕事を民が奪って金もうけをしているだけだ」(自民党中堅)との不満もくすぶっていただけに推進会議への風当たりが強まるのは必至だ。
小泉純一郎首相は5日夜、宮内氏を推進会議の議長に据えていることへの責任を記者団に問われ、「それとは別に関係ないでしょ」と述べただけだった。 (平成18年6月6日付産経新聞朝刊から)

「控えたい」では困るじゃないですか。推進会議を批判している人たちは、村上ファンドとも宮内氏とも無関係に規制改革に反対しているだけなんですから、「村上ファンドと推進会議は基本的に無関係」とはっきり言ってもらわなければ困ります(個別の項目のなかには関係が深いものも一部あるにせよ)。まあ、その前提として「村上氏を信用した私の不明は率直に認める」くらいのことを言う必要はあるでしょうが、言いたくないかもしれませんが、言ったところでいまさらこれ以上痛いことはないと思うのですが……。
私は宮内氏のアメリカかぶれについては批判的ですが、長年規制改革の推進役として憎まれ役を買っていることは高く評価するものです。この不祥事で規制改革が止まらないよう、奮闘を期待したいと思います。