正社員雇用を増やしたい

ほとんど報じられていないのが少し淋しいのですが、「若者の人間力を高めるための国民会議」の第3回(かな?)が開かれたそうです。

 フリーターやニートなど、若年層の雇用問題を解決するため厚生労働省主導で設置した「若者の人間力を高めるための国民会議」(議長・奥田碩日本経団連会長)は9日、都内で会合を開き、若者支援策について論議した。この中で、委員から「(求人増は)非正規雇用が中心で、正社員の採用を増やす取り組みが必要」など正社員の雇用を求める意見が相次いだ。
(平成18年5月10日付フジサンケイビジネスアイから)

まだ厚労省から内容が発表されていないので詳細はわからないのですが、この発言は誰から出たのかが興味深いところです。


もちろんこれは非常に重要な指摘であり、学者などからこうした意見が出てくることは、従来のような「ミスマッチがあるから職業訓練が必要」といったズレた認識が修正され、より現実に沿った認識が拡大しているということですから、望ましいことだと思います。とはいえ、それ以上に重要なのが、受け皿となる経済界の認識です。「相次いだ」というのですからそれなりの多数の委員から発言があったのでしょうが、経済界からも賛同があったのかどうか。
現在のように経済や企業業績が好調な中では、企業が非正規社員を採用するのはもっぱらその柔軟性を求めてのはずです。たとえば、派遣社員であれば直接採用より迅速に必要な人手を集めることができます(そのかわり高くつきますが)し、また、有期雇用であれば再び業績が悪化して人員が過剰になったときに雇止めでの対応が可能です。もし、企業がビジネスの先行きに自信が持てる、成長路線を描ける状況になっていれば、正社員採用による人材の確保(当然、正社員のほうが優れた人材が集まるでしょうし、効率的な育成をはかることもできます)を拡大するでしょう。もし、ここで経済界の委員からもこうした意見が出たのであれば、現状がそうなりつつあることを示していると思われますので、今後の若年雇用の改善が期待できるわけですが、はたしてどうだったのでしょうか。
それにしても、このフジサンケイビジネスアイの記事、見出しは「正社員雇用の意見相次ぐ フリーター対策国民会議」となっています。まあ、フリーター対策は重要でしょうが、それにしても「フリーター対策国民会議」というのはちょっと強烈。