在住外国人の生活・就労の改善

本日の新聞報道によると、政府は在住外国人の生活・就労の改善に取り組む方針とのことです。

 政府は、日本に住む外国人の生活や雇用環境の改善に向けた省庁横断の取り組みを新たにスタートさせる。在日外国人はこの10年で1.5倍に増える一方、日本語が壁となり職に就けない人や不法就労者も多く、社会格差拡大や治安悪化につながりかねないとの懸念からだ。安倍晋三官房長官の主導で5月にも関係省庁の連絡会議を設置し、具体策の検討を始める。

 検討課題として挙がっているのは、外国人労働者と家族への日本語教育を通した生活・雇用環境改善や医療サービスをはじめとする社会保障の拡充など。さらに、外国人労働者の約4分の1が不法滞在状態にあるのを踏まえ、在留管理強化も検討する。
 厚生労働省によると、外国人登録者数は04年末現在約200万人で、就労者は約85万人。少子高齢化労働力人口が減少する中、外国人労働者の受け入れ拡大を求める声が強まる一方、正社員としての雇用は25%(日本人は75%)にとどまっている。
(平成18年3月13日付毎日新聞夕刊から)

安倍官房長官は、きょうの記者会見でも「日本の生活に十分に適合できていない。どのようにうまく適応できるようにするか、地域が受け入れることができるようにするかを総合的に見ていく必要がある」と述べたそうです。


外国人労働者は地域的に偏在していることもあり、表立って取り上げられることは少ないように思われますが、その社会統合は地域によってはかなり大きな問題になっているようです。これは非常に困難な課題を多く含んでいますが、やはり「日本語」がそのかなりの部分を占めていることは確実でしょう。地域住民とのコミュニケーション・ギャップの縮小・解消はもとより、子どもの就学促進にも重要ですし、なにより、日本語ができればOJTを中心とした能力向上も進みやすく、よりよい就労機会の確保につながっていくのではないでしょうか。
とはいえ、外国人労働者の多数を占める「デカセギ」日系人は、もともと2〜3年で帰国する予定で来日することが多いとのことで、そうなるとなかなか日本語を修得しようという気持ちにならないことも無理のないところです。それが予定外に長期化してしまうと、本人の仕事や生活が安定しないだけではなく、日本語ができないままに子どもが就学年齢に到達し、勉強についていけない、ひいては登校しないといった事態につながるおそれが大きいといいます。
結局のところは、この問題では「先輩」である欧州諸国でも検討されているように、一定の日本語能力を入国の要件にするしかないのではないでしょうか。もちろん、あまりに高度な能力を求めることは事実上の締め出しになってしまいますから、そこそこの能力と入国後の学習をセットにすることも考えられるかもしれません。また、職域や職種によっては日本語が不要だったり(カルロス・ゴーンに日本語能力を求める必要はないでしょう)、通訳を雇える経済力を持つ人もいるでしょうから、適切なルールが求められますし、入口を狭めれば不法入国が増える可能性も高いので、そちらの対策も必要でしょう。いずれにしても、「滞在は当初の予定を超えて長期化しがちだ」ということをふまえて、外国人本人のためになる取り扱いが必要だろうと思います。