育休制度で出産3倍

育休制度が出産を促進するという調査結果が出たそうです。

 育児休業制度のある職場で働く女性の方が、同制度のない職場で働く女性より、一年間で子供を産む割合が約3倍高いことが8日、厚生労働省の「第3回21世紀成年者縦断調査」でわかった。制度があっても利用しやすい雰囲気の有無で約二倍の格差があることも判明した。
 厚労省は「育児休業制度を充実することが働く女性の出産状況に大きな影響を与える」とみている。
 調査は2002年10月末時点で全国から無作為抽出した20−34歳の男女が対象。同じ回答者を毎年追跡し、結婚や出産、就業の変化を探り、少子化対策に役立てるのが狙い。今回は04年11月に調査し、約2万人が回答した。
 前回調査(03年)時点で子供を産んでいない働く女性の出産状況を調べたところ、育児休業制度のない職場で働く女性(全体の33.3%)で出産したのは5.2%。これに対し、同制度のある職場で働く女性(同36.8%)はその約3倍の14.3%が出産を経験していた。
 同制度のある職場でも「利用しやすい雰囲気」(全体の17.4%)と回答した女性の18.3%が出産したのに対し、「利用しにくい雰囲気」と回答した女性(同7.4%)では出産したのは約半分の9.8%。
 また、出産後も同じ仕事に就いている女性は、同制度のある職場では74.2%で、ない職場では三分の一以下の27.6%にとどまった。
(平成18年3月9日付日本経済新聞朝刊から)

育児休業自体は法定のものですから「取得できない」ということはないはずで、「制度がない」というのも変な話ですが、これは就業規則などに規定されて制度化されていないとか、あるいは制度化していても周知されていないとかいうことなのでしょうか。いずれにしても、育児休業が取れることは出産を促進することは明らかなようです。
これはもちろん、育児のために休みが取れるという実体面での効果が大きいでしょうが、育児休業が制度として確立されて周知され、かつ取りやすい雰囲気があるということは、会社としても「出産して勤続してほしい」というメッセージですから、だったら出産しようか、となるという意識面での効果もあるのかもしれません。
ところで、2002年に20-35歳の働く女性で育児休業があれば1年間に17.4%が出産したということは、雑に計算して7年に1人、20-35歳の15年で2人ちょっとになり、人口置換水準に達しそうです。ということは、育休制度化で少子化問題は解決するということでしょうか?ちょっと信じられませんが、いずれにしても育休の充実(というよりは制度導入・普及でしょうが)に取り組む必要性は高そうです。