現代自動車、課長級以上の賃上げ凍結

これまた今朝の日経新聞から。飛ぶ鳥を落とす勢いでグローバル成長を遂げている現代自動車が一服を余儀なくされているようです。

 韓国の現代自動車と起亜自動車は22日、課長級以上の賃上げを凍結する方針を決めた。急激なウォン高と原材料価格の上昇で経営環境が悪化しており、労働組合との協議がいらない管理職の賃上げを凍結し、コスト上昇を食い止める。
 現代自動車の2006年の想定為替レートは1ドル=950ウォン。昨年から840ウォンもウォン高が進む計算で、2兆5千億ウォン(約3千億円)の減収要因になるという。…
(平成18年2月23日付日本経済新聞朝刊から)

賃上げ凍結ということは定昇も実施しないということでしょうから、賃下げにほかなりません。


韓国の自動車市場は実は日本以上に飽和していて、現代自動車はすでに海外でのほうが販売台数が多いらしいのですが、現地生産はまだ少なく、韓国からの完成車輸出が中心になっているようです。だとすれば、これほど大幅・急激な通貨高は甚大な打撃でしょう。日本の自動車メーカーも、90年代に1ドル=80円という円高に見舞われたときには大打撃だったわけで、それを考えればよく管理職の賃上げ凍結だけで収まるものだという気もします。とりあえず現代自動車にとっては(すでにかなりの計画はあるようですが)海外現地生産の拡大が経営課題ということなのでしょう。
まあ、為替レートはいずれ反転するだろうとの判断があるのかもしれませんが、いずれは組合員の賃金抑制に取り組まざるを得なくなるかもしれません。韓国は賃金格差が大きく、労働運動もさかんなので、大きな争議になる可能性もあるのではないでしょうか。
逆に、労組が冷静な対応をして、こうした大幅な通貨高も混乱なく対処できるとすれば、今後の海外生産拡大にともなう雇用減もうまく乗り切れるかもしれません。だとしたら、これは日米欧の自動車メーカーにとってかなりの脅威となりそうです。