公務員純減へ省庁間の配置転換促進

今朝の日経新聞の記事から。

 政府は2007年度から省庁間の職員の配置転換を本格化する。人員不足が生じた場合、他の省庁からの転属者などで補充し、新規採用を抑制するよう各省庁に義務づける。業務内容が大きく変わる場合に備え、転属前に研修を受ける制度も創設する。
 現行の国家公務員の人事制度では、各省庁が決められた定員数を満たすように独自に採用活動をしている。欠員が出た場合は原則、新規採用で穴埋めしている。…現在、年間1万人前後の退職者があるのに対し、新規採用は8千人前後で、年間2千人減る計算。…行政改革推進事務局は定年退職や転職などで欠員が生じた場合、07年度から大幅な配置転換による補充を進めて新規採用を抑制する必要があると判断。不要な事業の廃止や民営化などで各省庁の業務を減らし、浮いた定員を行革事務局が一元的に管理し各省庁に配分する方針だ。
 転属対象者には数カ月から一年程度の間、研修を受けられる制度を導入。配置転換を円滑に進める環境を整備する。…
(平成18年2月24日付日本経済新聞朝刊から)

定年退職などを新規採用で全部は補充しない、いわゆる「自然減」の拡大で人員をスリム化するいっぽう、過剰なところから不足しているところに人材を動かすことで行政サービスの水準は維持し、全体を効率化しようということでしょう。まことに妥当な方針と思われます。


公務員については「本人の意に反した配置転換はしない」との国会答弁があるということで、これが制約になる可能性もありますが、かつての国鉄民営化の例をみても、結局は積極的に配置転換を受け入れた人のほうが今からみればかなりハッピーな結果になっているようです。政治のリーダーシップと働く人の柔軟性の双方が期待されるところです。かつての電電公社がいつまでも手動の電話交換業務を残したり、社会保険庁がIT端末を使えない人のために紙ベースの仕事を残したりするようなことが許される状況ではないでしょう。
大切なのは、もたもたせずに迅速にやることでしょう。こうした取り組みは経済環境がいいときのほうが進みやすいことは言うまでもありません。自然減によるスリム化は採用抑制を通じて新卒などの就職機会を減らしますが、景気がよければ民間による採用が活発なので問題になりにくいでしょう。また、配置転換に応じたくない公務員にも、退職して民間で再就職するという選択肢が得やすいというメリットがあります。民間に転出する公務員が増えれば、その分公務員の新規採用の可能性も高まります。
得意の先送りを繰り出すのではなく、景気のいいうちに集中的に大半を片付けてしまうくらいの意気込みが必要ではないかと思います。