諸君!3月号

稲葉振一郎先生もご登場の「諸君!」3月号ですが、とりあえずは(?)元電機労連中央執行委員長、元連合会長代行にして元参議院議員という労働界の大立者、藁科満治氏とジャーナリスト(?)の櫻井よしこ氏の異色の(?)対談から。なんか「(?)」が多いな。

藁科 …そうした経緯からすると、(労組間の)対立解消の流れ自体は後戻りすることなく進んでいるといえます。ですから、官民が相互に譲り合いながら、意志統一を進めている、というのが現状ではないでしょうか。
櫻井 民のほうが、官に大きく譲っているように見えるのですが(笑)。
藁科 いや、必ずしもそうではないんですよ。ただ、官公部門は、民間労組と違って、自分たちの努力で能率を上げたり、付加価値をつけて、利潤をあげその対価を相手側に要求する、ということはできないわけです。しかも、争議権もない。その点は、民間労組の側が、官公労に一定の理解をしなくてはならない部分だと思います。…

これって結局、民間労組が官公労組に大きく譲っているってことですよね(笑)。実際、連合発足前には、藁科氏自身も身を置いていた金属労協が、行政改革を強く求めたりしていたわけで、そこを労働戦線大統一に持っていった経緯からはこういう立場を取らざるを得ないのでしょう。
それはそれとして、官公部門が自分たちの努力で能率を上げることができない、というのは明らかにおかしい話で、能率向上はできるはずだけれど、そのインセンティブがないというべきでしょう。民間労使で主流となっている(?)生産性運動は「雇用維持、労使協議、適正配分」を三原則としていて、中でも「適正配分」に目が行きがちなわけですが、公務員の場合は実は「雇用維持」が難しいのでしょう。つまり、民間なら生産性を向上して結果として人手が余っても、それを新しいビジネスに振り向けていくことができます。その時には場合によっては職種転換などが必要になることもあったわけですが、それには労使が一体となって取り組むことで、雇用維持を実現してきたわけです。ところが、官公の場合は勝手に仕事をつくるわけにはいかないという限界があって、下手をすると生産性向上して人手が余ったら分限免職なんてことにも絶対にならないという保証はない。これでは生産性向上に取り組むはずもないというのは感覚的によくわかります。
ですから、官公部門の効率化はトップダウンでやるというのが一つの選択肢で、そうでなければ効率化が現場の損にならない形を考えることが必要でしょう。後者については、実は民営化するというのがなかなか有力なんですけれどねぇ。民営化して生産性運動に取り組むというのは、働く人がその気になれば決して損にならない可能性が高いと思うのですが、しかし現実に手の内にある公務員の特権(雇用や労働条件の安定とか)のほうがありがたく思えてしまうのでしょうかねぇ…。